Black


□Flavor
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11月中旬の寒空が広がるベランダ。米良が散歩に行ってしまってすることがないのでベランダで星を眺めていた。

「もう冬になってきたんだからやめればいいのに…」

夜の気温は毎日0℃近い。そのうち寒くて風邪をひいてしまいそうだ。
風邪をひかれたら仕事にも差し支えるし、ひいてほしくないな〜。



ふと嗅ぎ慣れた匂いがした。少し離れたところから小さな赤い火と紫煙が立ち上る。




米良のタバコの匂いだ。




あんなもののどこがいいんだか。
百害あって一利なしだろう。俺は嫌いだしな。

でもすぐに米良だとわかるのは嬉しい。今のように遠くからでもわかることもある。


しばらく離れていても匂いが残っていることもある。






この間もそうだった――――












「香織と2日間も離れるなんて耐えられな〜い!」

「たかが2日間だけで大騒ぎするな!」
   ・
「2日間もだよ!?俺死んじゃうよ〜…」

「帰ってきたらふわふわのオムレツ作ってやるから…さっさと出張に行ってこい!」

「浮気しないでね、香織ぃ〜……」

「誰がするか!!!!」

半ば追い出し気味で出張へ送り出した。毎回同じことの繰り返しで始末に負えない8つも上の恋人。
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