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□トリックスター
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「よし、いくよっ」
デュエルディスクにセットされたのは、素早い剣術で敵を攻撃するあのエルフのカード。
「エルフの剣士、召喚!」
ソリッドビジョンと呼ばれる映像が形を構成してゆき、エルフの剣士が姿を現す。
そして召喚されるや否や、エルフの剣士は私の背後に回り込んだ。
一体何だというのだ、小賢しい。
振り向きざまに黒魔導の一発でも見舞ってやろうと思ったが、敵意は感じられないため止めておくことにした。
同時に、背中に嫌な密着感が伝う。
「…何故私の後ろに隠れる」
「あれ?どうしたのかな…」
「……………」
私の後ろにぴたりと付いたまま片目を覗かせ、マスターの様子を伺っているといった風だ。
その図体で隠れようとするのだから、非常に滑稽である。
そして気色悪い。
「折角召し喚んで下さったというのに、そのような所にいてはマスターに失礼だろうが」
「……!」
憮然として私がそう諭すと、今度は勢いよくマスターの前へ飛び出した。
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