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□疑似同棲
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「昔から夜家に一人でいることなんてよくあったし、馴れっこなんだけどね。
…でもやっぱり少し心細いかな」
「成程、それは様々なご心労があったことでしょう。
僭越ながら今宵は私がマスターのお傍に…」
「今晩このまま一緒にいてくれるの?」
「はい。お嫌でなければ」
「嫌なわけないよっ、ありがとう!
ふふ、海馬くんといいブラックマジシャンといい…本当にみんな親切だよね」
マスターの口から出た海馬という名前。
あの破廉恥極まり無い男のことだ、言動は容易に想像が付くが…。
「まさかとは思いますが、その海馬という者と共に一夜をお過ごしになられたりしたことは…?」
「ううん、ないよ。あの時はすごく眠くてロクにお話しもしないまま帰ってもらっちゃって…悪いことしたなぁ」
「いいえ、それが賢明な判断です」
マスターの御身に危険が及ぶ前に、いずれまた叩きのめさねばなるまい。
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