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□疑似同棲
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召喚──
それはカードから抜け出た魂が映像化された体へと移る瞬間。
まさに今私は召喚されて存在しているわけなのだが……ふむ、マスターの自室のようだ。
傍らでお立ちになっているマスターと視線が合い、私は一呼吸置く。
「如何なされましたか?」
「えっと、ただちょっとブラックマジシャンとお話ししたいなあって…」
ああ、身に余る光栄。
「差し出がましいようですが、私もこうしてマスターと対面させていただきたいと思っておりました」
「ほんと?嬉しいなぁ」
何と純情可憐な微笑みだろうか。
我がマスターには何人も敵うまい。
「私、ブラックマジシャンがいてくれると何だかすごく安心するの」
「はっ、有難きお言葉!
…時に御両親は在宅しておられないのですか?」
「あっ、うん。よくわかったねー」
やはり…
マスターの瞳に僅かながら寂しさが感じられたのはこの為か。
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