紅い部屋
□印―しるし―
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『邪欲』
―不正な欲望、私欲、
淫らな欲情―
チャイムが、鳴った気がした。
空耳だった。
いつまでもいつまでも、捨てられずにいる。
あの人には埋められないモノ、あたしには埋められるから。
『邪恋』
―道に外れた恋―
叶わない夢を抱いてる。
口ではどうとでも言えるよね。
あなたは嘘を吐くのだから、あたしの無理してる嘘にも気付いて。
あなたに印を付けたい。
見えないところでいいの。
けど、あの人に見えないところなんてないね。
あなたから与えられた偽物の愛、餌を与えられた偽物の象徴。
全て、捨てられたらいいのに。
せめて、あたしに印を付けてくれる?
ほら、ここに。
くっきりと、消えない花を付け続けて。
それはほら、まるで…
あなたが愛してくれた証。
あなたのモノという証。
あなたへの愛情の証。
自分の愚かさの証。