お題NARUTO

□5周年企画
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守A



〜君の描く未来に 私はいるのかな/Kside〜








私のわがままだということは承知だった。




ミナトの家に行き、二人向き合う形で椅子に座った。
彼は私好みの甘さのカフェオレを入れてくれた。
それを飲んでホッとする。
空気は少し和んでいたが、私達は真剣な顔持ちでいたと思う。





「クシナ…」

ミナトに名前を呼ばれ、そちらに顔を向けた。
彼は予想通り真剣な眼差しでこちらを見ていた。
私は彼に全てを話す覚悟を決めた。




「黙っててごめん。」
「クシナはいつから知っていたの?」
「人柱力のこと?」
「うん。」
「私が里に来て少し経ってから。
私も里に移住してきた時は知らされてなかった。
まさか、他里に人柱力になるために連れてこられるなんて思ってもみなかったってばね。」












初めて聞かされた時はショックだった。
何がなんだか分からなくなって、何でここにいるんだろう。って…
何で生まれてきたんだろうって、全てに絶望もしたわ。

私はただの器として、これから生きていくんだって思ってた時に、ミト様にお会いすることができたの。
とても素敵な女性だった。
私も大きくなったらミト様のような女性になりたいと思ったことを覚えてるわ。

それでその時にね。ミト様に言われた言葉があるの。


言葉?


そうよ。
その言葉は私にとってとても大きいものだったの。
最初は何を示すのか分からなかったけどね。
でも、ミナトと一緒にいるようになって分かったわ。


俺?


うん。
あなたは私にとって大切な人。
私はあなたと共にいるだけで幸せだった。


クシナ…


一緒に過ごすだけで幸せで、あなたが告白してきた時はとってもうれしかったってばね!
本気なのは十分伝わってきたし、私は愛されていると思えたわ。


でも、君は…


うん。あなたの気持ちには答えられなかった。
私もあなたを愛していたけど、私には変えることのできない運命があった。


変えることのできない運命…人柱力か…


そうよ。誰にも言ってはいけなかった。
だから、あなたにも言えなかった。
私が話を聞かされていた時、人柱力は次期火影の妻になることは決まっていたの。
私の将来はすでに定められていた。それでミナトの気持ちに答えることはできなかった。


それでも、君は定められた運命にそのまま従うつもりはなかったんだろう?


え?


だって、君は僕の修行に付き合ってくれた。
里が滅んでしまった今となっては使える者も少ない封印術も君は俺に教えてくれたじゃないか。
君は俺の夢が叶うように協力をしてくれた。


それは…


確かに断られた時はショックだったけど、それでも変わらず俺の傍にいてくれた。
俺が火影になれるのもクシナの支えがあってからこそだ。


そんな、それはミナトが頑張ったからだってばね!


俺はそんなに強い人間じゃないよ。大切な者はあるからこそ頑張れるんだ。


ミナト…


今日の話を聞いて分かった。
君は俺の気持ちに答えようとしてくれたんだね。


…私のわがままだってばね…
運命に従うことしかしなかったのに、ミナトと一緒にいたかった。少しでも、力になれればって思った。
ミナトの夢は火影だったから…
でも、結局振り回しただけだってばね。


そんなことない!
君の気持ちは伝わってきた。断られるとは思ってなかったけど、今なら分かる。君が俺を想ってくれていたことを…











ミナトは椅子から立ち上がると私に近づいてきた。

「ミナト?」


「改めて言うよ。火影としてではなく波風ミナトとして……俺はうずまきクシナのことを愛してる。」

「ミ、ナト…」
ミナトは真っすぐ私を見ながらそう言った。
それを聞いた私の心に何か込み上げるものがあった。

「俺の隣にずっといてください。」
彼の笑顔に、言葉に、込み上げていたものは簡単にあふれ出し、私の頬に伝った。
それを彼は優しい手つきで拭ってくれた。







「わ、たしも…ミナトのこと愛してる。


傍…にいさせて…。」






涙混じりになりながらも私も素直に気持ちを表した。だって、私も彼を愛しているから。


ミナトの隣にずっと一緒にいたい。
人柱力として。火影の妻としてだけでなく、ただの一人の女として愛する彼の未来を一緒に歩みたい。






人柱力。定められた未来。私に圧し掛かっていたものが軽くなった気がした。
私の涙は少しの間止まらなかった。










ごめんね。
そして、ありがとう。







君の描く未来に 私はいるのかな
(一緒に歩みたい)




2012/5/20
ミナトがクシナの真実を知る。


【5周年企画】
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