お題NARUTO

□5周年企画
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守B





〜赤い糸〜






クシナがこれからも傍にいてくれる。
それに俺はとても幸せを感じた。

愛する彼女を幸せにする。
守っていく。
俺は心の中で誓った。






俺達が夫婦になることが決まって…
つまり婚約してから同棲を始めた。
彼女の料理の腕前は知っていたし、俺達はずっと一人暮らしだったから家事もだいたいのことはできていた。


これから火影として里を守っていく俺は毎日を慌ただしく過ごしているが、彼女はいつも俺を気遣い支えてくれていた。
すでに夫婦のようになっていた俺達は忙しい生活の中でも幸せを感じている。


俺が火影として本格的に動き出す直前に急ぎの伝達が入った。

俺はその伝達を聞くと急いでミト様の住居に向かった。
俺が到着した時にはすでにクシナも到着していて、ミト様の傍らにいた。


「クシナ。」
「ミナト…」
彼女は涙を浮かべていた。

俺はミト様に近づいていく。

「ミト様は。」

「もうそろそろ時期だって…」

「そうか…」

俺はミト様のお顔を見つめる。
するとゆっくりとミト様は目を開かれた。



「クシナかい?」
「はい。ミト様。私はここです。」
傍にいたクシナはミト様の手をそっと握る。

「もう時が来てしまったね。愛は入れたかい?」
「はい…ミト様。」
クシナは涙を浮かべて目を俺に向ける。
俺はクシナの隣に膝を付いた。
するとミト様はゆっくりと俺に目線を向けた。

「そうかい。」
ミト様は柔らかな笑みを浮かべた。
その笑みは俺の心に不思議と安心感を与えた。
クシナが憧れるのも納得するほど、清らかで素敵な女性だ。

「これから辛いこともあるであろう。
自分をしっかり持って。希望を持って。
自分の未来は自分で作っていくのだよ。」


「はい。」
クシナは涙を頬に伝わせながら、そう答えた。

ミト様のクシナに向けていた視線を俺に向けられた。


「クシナを頼んだよ。」
ミト様の言葉が心に響き渡る。

「はい。」
それに答えようと俺ははっきりと言った。


「では準備に移る。」
部屋に入ってきた、三代目に俺達は言われ準備に取り掛かる。
準備といっても前からしているので、そう時間はかからなかった。











場所は森の中の洞窟に移動をした。
「準備が整いました。」
そう言って入ってきたクシナはうずまき一族の衣装を身にまとい、いつもなら靡く長い髪は両サイドで円くまとめられている。
こんな時に不謹慎ながら、綺麗だと思った。

「覚悟はいいかい?」
近づいてきたクシナにそう問いかける。

「はい。」
先ほどまで涙を浮かべていた目はしっかりと前を見据えていた。






「くっ、は…」
さすが九尾。
抑え込むので必死だった。
しかし、クシナも泣きごと言わず頑張っているのだ。
俺も必ず成功させなければ。




俺の施した術印はゆっくりとクシナのお腹に表れていく。
あと少し…



ここで俺はもう一つの術印を組み込んだ。
うずまき一族の珍しいチャクラに人柱力。これから彼女は今まで以上に危険にさらされることになるのだ。
彼女が十分に強いことは分かっているが、幼い頃に彼女は攫われたこともあった。だから、いくら彼女が強くても心配だった。
それに愛する彼女を守るのは俺の役目でもある。






すぐに駆けつけるように…






こうして俺はクシナに九尾を封印し、彼女は人柱力となった。










封印の儀式が終わり、俺達は三代目の命により自宅へ帰ることになった。
精神的疲労のことを考えられてのことだった。
特に人柱力となったクシナのチャクラは落ち着くまで少し時間がかかり、負担も大きいと思う。



「ミナト。ありがとう。」
自宅のテーブルで温かい飲み物を作っている時にクシナは椅子に座りながらそう言った。
「いいよ。ゆっくりしてて。」
俺は手元を見ながら、そう返した。
「あぁ、そうね。
今のは飲み物のお礼じゃなくて、今日のことよ。」
「ん?」
クシナにそう言われ、俺は手元から視線を外した。
彼女はそっとお腹に手を当てていた。
「どうしたの?」
術印はまだ残っている。数日すると自然とその姿を消していくのだが…
彼女が黙るので俺は心配になった。
「お腹痛い?」
そう言うと彼女はクスクスと笑っていた。
「そんなんじゃないってばね。」
「ん?」
「嬉しくて。」
「嬉しい?」
「そう。これで私は里から出られないし、敵もきっと多くなる。」
俺は彼女の言葉に胸が締め付けられる。
それは避けられない。だからこそ俺が彼女を…
「そんな顔しないで。少し息苦しいかもしれないけど、ミナトが傍にいてくれる。」
「当たり前だよ!」
「ふふ。…今日だってちゃんと封印してくれた。これからもミナトの隣で歩いて行けることが私は嬉しいの。」
「クシナ…」
「ありがとね。」
彼女は本当に綺麗に成長した。
とても綺麗な笑みを浮かべる彼女を見て愛しさが溢れだす。
「うん。
俺はクシナとずっと一緒にいる。危ない時は俺が君を守るよ。」

そう誓ったから。



「そう。ミナトだったら安心ね。」


そう言ってクシナは再び頬笑みをこぼした。







赤い糸
(俺達はいつでも繋がってる)







終わり〜完〜




2012/5/28
不完全燃焼な文になってしまった。
すいません。
とりあえずこのシリーズは終わりです。
他のIFお題は別のお話の予定です。
ちなみに書きたかったのは、ミナトが封印してクシナをいつでも守れるように術式を組み込んだということです。
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