◆小説小部屋◆


□秘め事15
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桜の花が満開の季節、並盛町に住む現役女子高生の沢田ツナは、この春高校3年生になる。春休みも後僅かとなり、慌てながら準備を始めていた。ツナは母親の奈々に似て、かなりの童顔で身長も150cm台でストップしてしまった様で、母親の奈々と一緒に歩いているといつも姉妹に間違われる始末。しかし、ひとつだけ奈々と違う形で程良く育った場所を持っていました。それはやはり、父方に外国の血が入っている所為なのか分からないが、胸だけは良く育った。幼い顔や身体に対して胸だけは、やたらと育ち人知れず、並盛に住む男達の夜のオカズになっていた様だ。そんなある日、ツナに『お見合い』話が来た。年明け前ツナは並盛町にある写真館の店主に頼まれ、正月前に赤い振袖を着て写真を撮るアルバイトをした。出来上がった写真は、店の前のウインドウに大きいサイズで飾られた。つい最近それを見た人がかなりツナを気に入ったらしく、店主に聞き迫ったとか…
何度も店に来ては、ツナの事を聞いて来て大変だったとか。根負けした店主が、ツナとの対面をセッティングすると約束してしまったらしいのだ。新学期の準備の買い物に出掛けていたツナは、帰宅早々に母の奈々から聞かされて、ショックの余り買った荷物をその場に落としたらしい。
「何その話!母さんなんで断ってくれなかったの!しかも明後日に『お見合い』だなんて。本当に急じゃない」
買った荷物もそっち退けで、帰宅したツナは巻く仕立てる様に母である、奈々に言った。
「だってツナ。店主さんが可哀想でしょう?他のお客さんが居る時に『彼女に合いたいです!』なんて言われ続けられたら」
奈々は笑いながら、巻く仕立てる娘にそう言った。
「それに、よっぽどツナちゃんの事が気に入ったのね相手の方は。良い機会だからお会いするだけでもって事で母さんOKしちゃった」
続け様に奈々はそう言って、まるで自分が『お見合い』をする様な気分だ。写真館の店主は、相手の写真と『釣り書』を置いて帰ったらしいが、ツナ自身全く興味が無かった。それに、もしツナの父親である家光が在宅していたなら、見合い自体行わなかっただろう。なんせ、娘マイラブな父親なのだから。とは言う物の、母の奈々はすっかり乗り気で写真館でアルバイトをした時に着ていた赤い振袖をタンスから用意し始めていた。
「明後日が、良いお天気になると良いわね」
などと、ツナの意思を無視して笑顔で言っていた。
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