◆小説小部屋◆


□姫初め
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綱吉は、残して置けなかった書類が多数見付かってしまい、一人執務室で新しい年を迎えた。
綱吉の元家庭教師で、現在は特別顧問のリボーンは年明け前に急に入った仕事の為、まだ帰宅していなかった。早くて2日には帰って来る事を、綱吉に告げていた。
「…ふう。これで、間に合うだろう。あ〜疲れたぁ」
使い慣れたペンを置き、綱吉は一度身体を伸ばしてから、大きな机に突っ伏した。そして、その態勢のまま別室で控えている右腕の獄寺に、仕上がった書類の受け渡しを頼む為、電話の内線を押した。内線音は一度だけ鳴り、素早く獄寺が出た。
『お疲れ様ですボス。直ぐに書類を引き取りに伺います』
用件のみの会話で終わり、5分もしない内に獄寺が執務室に現れた。美味しそうな珈琲を持って。机に突っ伏したままだった綱吉は、珈琲の匂いに誘われて疲れた身体を起こして、近付く獄寺に柔らかな笑みを向けた。
「明けましておめでとう隼人。せっかくの新年に付き合わせてゴメンねぇ」
書類と珈琲を交換しながら、綱吉は獄寺に詫びた。
「明けましておめでとうございますボス。オレの事は気にしないで下さい。こちらも残していた書類がありましたから…」
苦笑いをしながら、獄寺は綱吉にそう言った。そんな時、気配無く執務室のドアがゆっくりと開いた。
「新年早々、何やってんだ?お前達は」
開いたドアからは、聞ける筈の無い青年の声と呆れた表情が一緒になって現れた。綱吉は、聞こえた声と現れた人物に溢れんばかりの笑顔を向ける。
「おかえりなさいリボーン。明けましておめでとう」
獄寺から貰った珈琲を一口だけ飲み、帰宅したリボーンに綱吉は言った。獄寺も綱吉に倣い帰宅したリボーンに挨拶をする。そして直ぐに書類を手に持ち、素早く移動した。リボーンが飲むエスプレッソを入れる為に。
その間、綱吉はリボーンに理由を告げていた。リボーンは近くにあったソファに腰を下ろす。
「帰って来るの明日と思ってたから、びっくりしたよリボーン」
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