◆小説小部屋◆


□秘め事3
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沢田ツナ。並盛中学の2年生である。彼女が歩くと、すれちがう人々は必ず特定の場所に目を奪われてしまう。男女関係無く。それは胸である。小柄な彼女には、立派過ぎる程の胸だ。
いくらツナが姿勢を悪くしても彼女の胸は、隠し様が無い。
それほどまでに、立派で彼女の胸を目当てに歩く同中学生や近所の高校生、更に近辺に出没する痴漢や変態さんまでがいた。
今日も今日とて、彼女の周りはその胸を拝みに来る人々でいっぱいだった。


(やだなぁ〜今日も人がいっぱい居るよ〜)
ツナは心の声で人の多さに辟易した。ざわめく周りを見渡せば、通るツナをチラチラ見て歩く人ばかりだった。
人々の目は、ツナが歩く度に揺れ弾むその胸に集中される。
中には、ツナの胸の形を手で表現する輩も居て大変だ。
(もう…やだ!)
歩いてツナだったが、とうとう我慢仕切れず顔を真っ赤にし、弾む胸に学生鞄を当てて並盛中学まで走って行った。

やっとの思いで学校に着いたツナは、息も耐えだえに疲れ果てていた。
「ツナちゃん、おはよう。大丈夫?今日も走って来たの?」
下駄箱の側で荒くなった息を整えようとしたツナに、声をかける者がいた。ツナはその声にうなだれていた頭を上げる。
「あ…おはよう。京子ちゃん…もう…少しで、治まるから…教室先に、行ってて」
ツナに声をかけたのはクラスメイトの笹川京子だった。ツナの憧れの人物。ふわふわした柔らかなモノいいをする女の子で、いつもツナに優しく接してくれる。
「そう?もう少ししたら、予鈴が鳴るから。気を付けてね」
ツナの様子を気にしながらも、京子は言葉通りに自分の教室に向かって歩く。
ツナは荒い息をゆっくりと整えて、教室へと向かった。
そんな様子を、階段の上で見ていた人物が一人。
「2年A組。沢田ツナ、相変わらず、身体に似合わない位のデカイ胸だな…」
長身の身体に漆黒の髪を持つ、並盛中学の数学教師リボ山リボーン先生がそこにいた。
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