小説置き場

□父の日
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カリカリカリカリ・・・・・
部屋には、万年筆が紙をこする音が今朝からずっと鳴り響いていた。
いや、もしかしたら昨日から続いているのかもしれない。
そして、それをずっとソファの上に寝そべって眺めている私。
「グウェンダル、もうおやつの時間だよぉ〜?休憩にしよぉーよぉーー!」
グウェンダルと呼ばれた男は、私の呼びかけに書類から顔も上げずに返事をした。
「ふむ・・これが終わったらな。」
私は、グウェンダルからその隣に山済みになっている書類の山に目をうつした。
「・・・これ・・?」
「そうだ。」
「ユーリは休憩してるんだから、自分だって休憩すればいいじゃん!!」
ソファから上半身を起こして語尾を強くして怒鳴ってやると、相手も書類から顔を上げないのはそのままに少し声を荒げるのだった。
「アイツが『休憩』しているからこそ、私がやらなければいけないのだろう!」
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