Gift

□リアル桃太郎
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むかーし昔、ある所におじいさんとおばあさんがおりました。

おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。


「あぁ、今日は洗濯日和だねぇ」


おばあさんが川で洗濯をしていると、川上からどんぶらこ〜どんぶらこ〜と大きな桃が流れて来ました。


「おや、あれは何だろう……」


おばあさんは流れて来た桃を拾うことにしました。


「じいさんと食べようかねぇ。……よいしょっと」


巨大な桃を、おばあさんは、なんとか岸まで上げました。


「それにしても、なんて大きな桃なんでしょう」


そう。この桃の中には……


(ば、ばあさん……助けて……)


桃太郎(桃園祐喜、十六歳)が入っていました。

そんな事は露知らず、おばあさん(川原涼一)はどうやって桃を運ぶか考えていました。


「重いから、手には持てないし……。転がそうかしら」


(ちょっと待て。転がすってまさか…)


「それーっ」


(ぎゃー!マジで転がしてる!!眼が回るっ、揺れる!)


勿論、桃太郎の言葉が聞こえるはずも無く、おばあさんはお構い無しに桃を転がしました。


(あぁ、吐き気がしてき、痛!)


家に着いたおばあさんは、おじいさんが帰るまでご飯の用意をする事にしました。


「じいさんが帰って来たら、桃を切ってもらおうかねぇ」


(せ、狭いから早く出たい……)


暫くすると、おじいさんが帰って来ました。


「じいさん、お帰りなさい」

「おう!ただいま、ばあさん」


芝刈りから帰って来たおじいさん(柴浦清子)は、大きな桃に驚きました。


「でっけー桃だな!二人で食えるか?」

「そうですねぇ…お隣にお裾分けしましょうか」

「よし!じゃあ切るぜ」


おじいさんは、桃を切ろうと包丁を振り上げ──


(ストーップ!このままだと、オレが真っ二つになるっ)


あら不思議。

桃の中から男の子が出てきました。


(あれ?真っ二つになってない?)


「おー!可愛い男の子だ」

「本当、可愛いですねぇ」


桃から出てきた男の子を、二人は自分の子供として育てる事にしました。

彼の名を、桃から生まれたので“桃太郎”と名付け、育てました。








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