Gift
□邂逅
2ページ/7ページ
苑兎の座敷から出た後、胡鶴は泉に呼ばれた。
胡鶴は、先程、苑兎から指名を受けた時と同じような予感がする。
(また指名される感じがする……)
そして、その予感は当たった。
「鶴ちゃん、お客さんよ!」
「こ、今度はどんな奴なんだ?」
「またまた男前のお侍さんだよ。鶴ちゃん、すっごく人気だねっ」
楽しそうに喋る泉を横目に、胡鶴は明らかに嫌そうな顔をする。
男にモテたって嬉しくないし、第一、自分は男なのである。
父親からの仕事でなければ、絶対に引き受けなかった。
そして、胡鶴には女装をしてまで客を相手にする意味が解らなかった。
「オレ、本当に嫌なんだけど……」
「もう、鶴ちゃん!オレじゃなくて私だよ」
「うぐぐ……」
唸る胡鶴を引っ張って、泉は座敷へと案内した。
.