Gift

□お正月フリー'08
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*A HAPPY NEW YEAR*


「あけおめ〜」
「明けましておめでとうございます、祐喜様」
「おめでとさん、祐喜」

寮生である祐喜は雪代、咲羽には1日に挨拶を済ませられた。しかし、自宅通いである雅彦は、冬休みが明けないと出来ない。祐喜はどうすればいいか悩んでいた。

「別に冬休みが終わってからでも良くね?」
「でもさ、やっぱり早く言いたいじゃん」
「どうしてですか?祐喜様」
「オレ、身内以外で挨拶するの久々なんだよ。今までは避けてたから…」

顔を伏せる祐喜を見て、雪代と咲羽は顔を見合わせる。
今まで呪いのせいで友達付き合いもままならなかった祐喜に、普通の生活をさせてあげたい二人は、祐喜に提案した。

「祐喜様、文などは如何でしょう?」
「年賀状とは別に書くのも良いんじゃねぇか?長く書けるしな」
「手紙かぁ…うん、それにしよう!」

こうして、祐喜は雅彦に手紙を送った。


雅彦へ。明けましておめでとう。元気にしてるか?オレは雪代や咲羽と元気に過ごしてる。
年賀状は届いたか?オレ、友達に年賀状とか書いたの初めてでさ、色々悩んだんだ。喜んでくれたら嬉しい。あ、でも感想とか聞きたくないからな!恥ずかしいじゃん!
それじゃあまた学校で。祐喜より。


始業式当日。

「祐喜殿〜明けましておめでとうございます!」
「あけおめ、雅彦」
「お手紙ありがとうございました!送り主が祐喜殿と聞いて喜びましたよ」
「そ、そうか…」

急に何かを舞い始めた雅彦を見て、祐喜はとりあえず安心した。

「しかし祐喜殿。何故お手紙を?」
「雪代と咲羽が提案してくれたんだ」
「そうですか…しかし祐喜殿」
「うん?」

雅彦は一つ咳払いをし、祐喜に告げた。

「お手紙ではなく、電話をした方が早かったのでは?」
「……あ、本当だ!電話した方が早いし直接言えるじゃん」

気付かなかったよと苦笑する祐喜を見ながら、雅彦は確信した。

あの二人、わざと言わなかったな。


その頃二人は…

「バレていないでしょうか?」
「大丈夫だろ。例え犬が気付いても、祐喜から手紙貰えるんだぜ?嬉しいに決まってるだろ」

その通りなので、真実が判っても雅彦は何も言えなかった。




*fin*
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