Gift
□獣基の捜索
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とある日の昼休み。
いつも四人で(最近は鬼やら祖父母まで増えたが)昼食を食べているので、彼らは祐喜を迎えに来た。
しかし、いつもは自分の教室にいるはずの祐喜がいないのだ。
主の失踪により、獣基たちは慌てていた。
「祐喜様っ、何処へ行かれたのですか!?」
「あぁ雪代っ、落ち着いてください!!」
「お前が一番落ち着けよ」
咲羽は雅彦の額を指で弾いた。
その勢いで、雅彦は廊下を数メートル吹っ飛ぶ。
「咲羽、どうしてボクだけ弾くんですかぁ!!」
「おい、雪代。他の奴に訊いてみたのか?」
咲羽は雅彦を無視して雪代に話し掛けた。
雪代は咲羽の問いに頷く。
「はい。椀野君にも訊いてみましたが……」
『え?桃がいない?うーんオレ知らねぇや。あ、赤鬼!!』
「と言って、走って行ってしまいました……」
「……相変わらずだな」
咲羽は雪代の話に溜め息を吐いた。
一方、無視された雅彦は、未だに文句を言っている。
それを見た咲羽は更に文句を言った。
「うるせぇな……犬はボールでも追いかけて遊んでろ」
「祐喜殿がいないのに遊んでいられますか!?」
咲羽は足元に落ちていた野球ボールを窓の外へ投げた。
「ほら、取って来い」
「ワン!」
雅彦は一目散にボールを追って行った。
その様子を見ていた雪代は……
「哀れですわ」
と瞳を逸らした。
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