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□裏娥楼へおいでませ
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ぴちゃ、ぴちゃ、と…耳に纏わりつく水音。






コウ娥楼の奥深く…コウ娥楼に通い慣れた者にのみ許される禁場…。



美しい顔形の美々しい青年たちが、美しい微笑みで出迎える。






その中の至高と呼ばれる5人の妓男たち…。




その内の一人である柳は、今夜は久しぶりに客と夜御伽を行っていた。



至高の5人の妓男たちは、滅多に客を相手にはしない。



妓男たちが興味を持つか、相手が金を積むかしかない。




今夜はその両方だった。





相手は藍家当主藍雪那。
柳は異色の三つ子当主である藍雪那に興味があった。


その為、藍家当主が一生遊んで暮らせる様な金を積んだ時、5人の中から柳が出たのだ。




柳は雪那の前に出てにこりと微笑んだ。



「今夜はよろしく。あんたの兄弟は居なくて、今日は一人なんだね?」


雪那は柳の軽い態度に驚いた。
夜の仕事をする者ならもう少し態度が重くないと駄目ではないか?と。



しかし、柳にとっては元々こういった性格の為自然と振る舞っている。



雪那も話している内に、自分を特別扱いしない柳に好感を持ち始めた。



「…じゃあ、そろそろ、かな?」




柳はそう言うと、雪那を寝台に押し倒した。



雪那は動揺して、瞳を見開いた。



「き、君が男役なのかい?」



「うん。まあ、相手がおっさんならともかく、せっかく綺麗なあんた相手だしね。」




柳は獣の様に瞳を細めた。



柳は雪那の胸元を緩めてやると、自分の唇を次々に落として華を咲かせて行く。



雪那はこらえきれない様に瞳を強く閉じて力を込めた。



柳はそれを見てクッと唇を吊り上げた。




(くく…こういった矜持の高そうな奴が溺れて行く様が良いんだよな…)





柳は慣れた様に両手で雪那の頬を自分に向けさせて、口付けた。



「……っ!」




柳は何度も雪那に口付ける。
雪那の唇の隙間に柳は自分の舌を滑り込ませて雪那の舌に絡める。



「…っ……んん!」




柳は雪那から苦しそうな息遣いが零れたのを感じて唇を離した。



雪那は苦しそうな息を吐き、瞳は潤んで頬は上気していた。







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