短編小説
□貴方と私の裁きの歌
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「こうするしか…ないのだな。」
女は言った。
絹のような服を纏った、純白の存在だった。
最もその服は至る所が破れており、本人も限界に近い。
「あぁ…そのようだな…」
男は答えた。
女の前に膝をついているこの男は、対極に何の材料かも分からない程の黒い服を身に纏い、しかし同じく傷だらけで、下腹部から滲む血を片手で抑えていた。
女は自身の居る場所から地を見下ろした。
眼下には白と黒が混ざった、灰の色が見える。
「私は咎人のようだ。もう羽根はない。生まれ変われも出来ない。それでも…後悔はしない。」