Deep sea

□episode1 −奇妙な出会い−
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―孤独を知った。



掌に在るのは、赤い宝石のついた首飾りだった。


鎖の切れてしまったそれは、いつもより赤みを帯びていた。


もっと暗く、黒く。


懐かしいはずのそれは、静かに一言だけを告げる。



ただ主を失ったのだと。


歯を食いしばった。

込み上げるのは深い哀しみ。


けれどもそれに勝るのは、燃え上がる悔恨。


「ちくしょう―――!!」


自分の他には誰も居ない、暗い荒れた部屋に、叫びは木霊する。
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