君とみたソラ
□第一章
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「八戒ぃぃ〜腹減ったー」
ジープの後部座席でだらしなく伸びている少年。
茶髪で太陽に負けないくらいの光をともした瞳。
名を孫 悟空と言う。
「もう少しの辛抱ですよ、悟空。あと少ししたら次の町につきますから」
人の良さそうな顔でバックミラー越しに悟空を見る好青年。
黒とも茶色ともとれる髪のなびかせ、紺碧色の瞳。
その名は猪 八戒
「おいおい、確かさっきの昼飯で今なんにもないんだろ?早くしねェと、こいつが飢え死にするぜ」
ヒニルに笑うホスト風の青年。
頬には二本の傷跡がある。髪、瞳と共に紅い。
沙 悟浄という。
「はっ、ちょうどいい。いつまで持つのか試してみようか」
見下すように言い放った金髪美丈夫。紫の瞳は少々たれ気味なのが印象強い。
彼こそ、このメンバーの責任者である玄奘三蔵法師。
三蔵一行は、天竺に向かって日々邁進しているのである。まる。
「ほら、見えてきましたよ」
八戒達の目の前に現れた町。名は伶乎(レイカ)。
そこには、この世界に居るはずのない少女が居る。
ジープが白竜へと変化を成すと、三蔵一行は宿を探すために町を歩き回る。
只でさえ珍しい出で立ちをしている四人は人々の注目の的となる。
しかしそんなのは構わず、彼らは足を進める。
「あ」
「どうかしましたか、悟空」
「どーせどっかの肉まんやでも見つけたんだろ」
「違う違う」
首を振りながら悟空が指を指した先には、人だかりがあった。
そこからは歓声が絶え間なく聞こえる。
「なんだ、大道芸人でもいンのか?」
「どーでもいい。今は寝床確保が優先だ」
少々興味を示して立ち止まる悟浄を追い越し、三蔵は先へ進む。
だが何時まで経っても他の三人がこない。
「………なぁにやってんだテメエらはッ!!」
「おいおい、三蔵。見てみろよあの子」
ずかずかと後戻りした三蔵は、罵声をあげながら立ち止まる三人に近寄る。
しかし、肩を掴もうとしたその手を悟浄に引かれ、人集りの中へ入り込んでいく。
「すっげーなアイツ!!」
「えぇ。とてもじゃありませんが僕には到底出来ませんよ」
何を見ているんだと、不本意ながらも人集りの中心へと目を向ける。
そこには銀髪の髪をなびかせた、漆黒の瞳を持つ少女が居た。
彼女は顔は大人びていたが、その服装は男が着る動きやすさを重視した服。
しかし、その服にはふつうとは違うところがあった。
腰には太めの紐が腰を一巡しており、そこに挿されているのは銀色に輝く5.6本の刃物。
「的狙いか……」
彼女は、腰から抜いたナイフを手元でクルクルと回し、ぱしっと掴む。
そして10mは優に越えている先には、幾つもにまるを重ねて書いている看板があった。
そしてその看板の中心にある小さな赤い点に狙いを定める。
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