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□欲情station
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ロマンチストには なれないけれど

ロマンチックなことはしたい

矛盾ばっかなアタシですが

君とそんなことを望んじゃう時点で


ロマンチスト予備軍なのでしょう










欲情station









人気の少ない通り道、

車が一台通れるかどうかの幅の
特にこれと言って人の集まる要素も無いそんな通りのバス停に
名前はいつものように ベンチで何をすることもなく空を眺めていた。



「今日も天気がよろしいですなぁ」


見上げる先の空は今自分が言った通りの晴天で鴉が群れになって飛んでいる。

現在帰路の途中である名前は


猛烈に機嫌が悪かった。



怒りの原因である携帯のディスプレイを3分前と同じ様に持ち上げ、画面に仲睦まじく写る カップルを穴が飽きそうな程見続ける。



"
今 彼氏とデート中☆
名前の好きな鯛焼き食べてるよー♪

メッチャおいしい♪♪  "



「…」


私にどー反応しろと?


携帯に写っているのは名前の良く知る友達で、幸せオーラ前回で鯛焼きを食べている。



「えー、えー、美味しいでしょうよ。大好きな方と一緒に食べてんなら尚更……」


皮肉めいた事を口にしながら、なんとも言えない気持ちになる名前。



「良いですね〜、彼氏がいて」



このかた一度も彼氏のいたことのない名前には、嫌味のメールでしかない。


しかも質が悪いことに、このメールを送った本人は全く嫌味で送ってきた訳ではないのだ。

ただの現状報告のつもりなだけであるはずだ。



「ハハッ、天然って恐ろし……」



"ラブラブじゃんっw

デート楽しんでねー(^o^)/ "



これが現時点で名前が送れる精一杯の文だった。


「それ以上はアタシに求めるなよぉ…?」


さっきから、携帯に喋りかけている自分はなんなんだと呆れてき 制服のポケットにまたしまう。



平凡過ぎるアタシの人生、
しかも彼氏も居なければ、
友達も少ない方の部類に入るんじゃないかと思う。


いやいやいや、こんなんで良いのか?女子高生よ。
もっと青春を謳歌したまえよ。


そんなことを思ってはまた自分に苦笑。


だが、これが自分なのだ。
無い物ねだりをしたってしょうがない。


考えに終止符をうって、また空を見ながらボーッとしだす。



先程がら方耳だけに付けていたイヤホンをもう片方の耳にも付ける。


実はいつも乗っているバスを乗り過ごしてしまい、後20分程待たなければならないのである。



日があるといえど、やはり外なので外気も冷たい。

なにもする気力の亡くなった名前は、ゆっくりと瞼を閉じた。



おっ、なんか今なら寝れそう。



若干の睡魔が後押しし、#name1#は意識を手放したーーー。










……ん、なんか肩揺らされてる?



自分の身体が意志に反して小刻みに動いていることに気づき、瞼をゆっくり開けてみた。






チュッ。




そうしたと同時に聞こえる小さな小さなリップ音。





「……えっ?」




瞼を開いたら目の前には、とにかく主張一杯のオレンジだった。


一気に眠気が吹き飛んだ。
耳に着けていたイヤホンを外し反射的についさっき何かが押し付けられたであろう左頬を片手で押さえた。




「あっ起きた?ちょっと無防備過ぎじゃないさー?」



オレンジの正体は、綺麗な青年だった。



「…は、はい……」







いやいやいやいやいや、
ちょっと待って 今この人アタシに何した!?
この至近距離でアタシに何した!?!?



「ちょっ!貴方、今!!」


「あぁ、キスのことさ?」



あっさり、認めやがったこいつっ!!



「無防備に寝てる君が悪いさー」

「アタシのせい!??」

「こんなとこで寝たりなんてしたら、何されるか分かんないじゃん?風邪引いちゃうかもしんないしさ?」

「うっ、いやそうかもしれないけど、貴方がホントにする必要はっーー」

「ほらっ、こうゆうのって身に染みてないともう一度繰り返すし」




眩いばかりの笑顔を向けられ、言葉に詰まってしまう。


な、何なの!?この人!?


「セ、セクハラよっ!!」
「こんなとこで欲情するほど可愛い寝顔さらしてる君のせーさっ♪」
「…っ!?」


笑顔でこの変態なに言っちゃってんの!?
あまりのことに声が出ず、金魚のように口がパクパクと開けたり閉めたりを繰り返し、顔がどんどん熱くなってくるのが分かる。


あ、顔が赤ーい。可愛いさっ♪と、またもや変態発言をする彼。

そこにどういった訳か、ビミョーなタイミングでやっと到着したバスが来た。




「君、このバスっしょ?」

「…え、…はい……」

な、な、な、何で知ってんの、この人!?

「はいはい、乗った乗った!」

青年に背中を押され、バスの入り口に体を入れられた。

なにがなんだか分からず、#name1#の頭は混乱状態。


「あ、そうそう!」


最後に青年は、



「俺の名前は、ラビ♪よろしくね#name1#ちゃん♪」



そう言って、バスの扉が閉まった。







「………………え?………………」



 

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