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御礼SS10月分その1 大人向け短編『好きになった〜』ドラム編タロウ、『義さんちのハロウィン』

 今さらだけれども、私は義さんのお世話になりっぱなしである。だからこういうイベントのときくらいは、そう思って仕事帰りの義さんに突撃した。

「トリックオアトリート!」
「却下」
「って義さんが言ってください」
「どっちにしろイタズラ確定じゃねーか」

 私の変化球にも動じず冷静にはね返してくる義さんさすがです。ていうか最初の二択の意味ェ……。

「なんでです?」
「トリート選んだら?」
「お菓子をあげます」
「どうせこれから作んだろ? 失敗した後始末は誰がすんだ?」
「義さんですかね」
「ふざけんな」

 いやあくまで失敗した場合はだし、結局義さんが主体になって掃除することになるんだろうなってだけだし。やっぱりバレンタインの失敗が効いているらしい、義さんの態度はいつにもまして頑なだ。

「でもひとりで始めずに義さんが帰ってくるのをちゃんと待ってたんですよ?」
「……ようやく学習したか」

 可愛らしく首をかしげてみせたら、珍しくほめてくれた。うん、これはあれだね、完全に犬のしつけだと思われてるね。

「というわけでれっつくっきんg」
「却下」

 義さんは「そもそも既製品でいいだろが」とかブツブツ言いながら私を置いていってしまうから、その大きな背中を慌てて追いかけた。いや確かにそうなんだけども。

「他に人にあげるなら、そうするんですけどね。義さんは特別なんで」

 一瞬だけ、義さんの動きが止まる。背中を向けられてるからその表情を見られないのが残念だ。まぁ見てしまったら、私もこんなに冷静ではいられなくなっちゃいそうだけど。

「毒見役か」
「ばれました?」

 だからいつもみたいに茶化してごまかして、本音を押し隠す。こういうイベントでもないと口出せないとか、こじらせてるなぁ、ほんと。

END
 
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