ノーマル短編集
□ノーマルSS
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『春夏秋冬』『眠れない夜、目覚めない朝』『あぁ、もう』フリーワンライ企画参加。
彼と同棲してから春夏秋冬、まる一年が過ぎた。いま現在、ベッドに横たわる私のとなりに彼はいない。師走ということもあって、週の半分以上は朝帰りだ。
たしかにようやく仕事が楽しくなってくる年ごろで、忙しい、付き合いがあると言われてしまえば黙らざるを得なかった。私だって自分の仕事があり、生活のリズムがある。自然と顔を合わせる時間が減った。
それがいけなかったのだと思う。彼の体臭にほかの女の香りが混じるようになって、私は求められなくなった。
たった一年、それすらもたなかった。情けない事実が目を冴えさせる。
「あぁ、もう」
こんなことを考えていないでさっさと眠らなければ、明日に響く。ただでさえ最近はすっきりと目覚めることがなくなっている。きっと明日の自分は重たいまぶたを持ち上げながら、いまこのときを呪うだろう。
なんとか眠りを誘おうと、頭から掛け布団をかぶる。それでも一人で使うダブルベッドは、うっすらと寒かった。
END