闇の守護者

□2話
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ザーザー雨が降っている中、ぼくは立っていた
不思議と寒さは感じない、当たり前だ、ここは夢の中なンだから
だってそうじゃなかったら目の前に弱い弱い、泣き虫だった頃のぼくがいるはずないだろう?
ね?夢しかないじゃないか

「・・・・・・」

無言で涙を流して拭おうとしないぼく
その目は何も移さなくて子供のくせに濁ってる
そんなぼくから目が離せない

「ご・・めん、なさ・・・い」

小さな声で謝り続ける、何も悪いことをしていないのに、どうして謝る?誰に謝る?
謝るなよ、と言おうとしたが声が出なかった
そのあいだにもぼくは謝り続けて、その声は心なしか大きくなっている気がする


「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

「ごめんなさい、ごめんなさい、許して、ごめんなさい、いい子にします」

あ、わかった、誰に謝ってるのか
あいつだ、世界で一番憎くて大嫌いな、ぼくをいじめたあの忌々しい父親に
なんでそんなに謝るのさ、最低な奴なのに

「ごめんなさい、ごめんなさい・・・どうか、ぼくを―――」


その言葉を聞いた瞬間、ぼくの意識は浮上したのだった




「はぁ・・・はぁ・・・」

起き上がったらもう朝だった、時間は6時ぴったり
いつもならやったね、ピタリ賞だ、と喜んでいたんだろうけど今はそんな気分にはなれない

「愛してください」

確かにあのぼくは言った、意味わかんない
なんであの人に愛なんかもらわなきゃいけないの?
夢は深層心理の現れって言うけれど、あれがぼくの深層心理?ぼくがあの男に愛されたいと思っている?今でも?


「嘘だ!!嘘だ嘘だ嘘だ!!!」

愛されたいなんて思ってなんかいない、あんな奴なんて大嫌いだ!
絶対に違う、違う!

「学校行く準備しよう」

そうだ、今日は平日、だから、だから学校に行かなくちゃ
うん、そうだ、行かなくちゃ
怒られちゃうもんね?ぼくはいい子だもんね?
だからちゃんと学校に行かなくちゃいけないんだ、いい子のぼくは
夢なんて忘れてさ、そうだ、忘れた方がいい
そうだそうだ、忘れた方が自分のためになる
今日は何にしようかな、いつもどおりたくさん持っていこう、お昼は何かとお腹がすくから
スパゲッティを入れて、そうだ今日は魚にしよう、お肉ばかりじゃ栄養が偏っちゃうから
そうだそうだ、そうしよう、それがいい、野菜も入れなきゃね
卵焼きもいれよう!美味しいもんね、パンにしようかな、ご飯にしようかな
今日はご飯にしよう、明日はサンドイッチ
うんそうしようそうしよう、さぁ、早く準備をしなくちゃ

〜〜〜♪

その瞬間、ケータイの電話が鳴った
誰からだろうと思いながら電話に出る

「はい、もしもし?」
『・・・もしもし、私よぉ♥』

電話の主はルッスーリアだった、久しぶりに聞いた声は変わっていない

「ルッ・・・ス?」
『そうよ、アルカちゃん、元気にしてる?』
「うん、元気だよぉ」

なぜだか自然と涙がこぼれた、あの夢があったからだろうか、ルッスの声が暖かく聞こえたのだ

『泣いてるの?』
「だいじょーぶ、泣いてないよ」
『そう?ああ、そうだ今日そっちにスクアーロが来るから、今日は学校お休みしなさい』
「スクアーロ、来るの?」

嬉しい、その感情で胸が覆い尽くされていくのを感じた
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