青の祓魔師d

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「奥村くん――いえ"奥村燐"は…
約十五年前サタンの憑依体と人間の女性との間に生まれた子供です
サタンの青い炎の能力を継いでいます」


重苦しい空気の部屋に
燐と名前を除いた塾生全員と
引率の雪男の姿があった。


「…あの…奥村先生は確か…
奥村くんと双子の兄弟でしたよね…?」

「僕は炎を継いでいません
毎日検査も受けていますが不思議とただの常人です」

子猫丸の問いに坦々とした口調で答える雪男

「奥村燐は"降魔剣"の中に炎を封印するとこでこの十六年、比較的常人と近い状態で育てられました
炎が降魔剣では抑えきれなくなって覚醒したのは三ヶ月ほど前
―――それまでは本人も自分が何者かは知らずに育ったんです」

雪男の説明に皆が驚きを隠せないでいる


「何で
何が目的で育てられた?」

「正直僕にも判りません」

また、勝呂の問いにも坦々とした口調で答えるだけの雪男


「なあ、名前ちゃんは?
名前ちゃんもサタンの子なんか?」

ずっと黙っていた志摩が口を開いた


「名字さんについては奥村燐以上に僕も判りません
名字さんは本当は僕たち合わせ三つ子だったのかもしれません。
ただ、僕たちは男子修道院で育ってきました、なので名字さんは女子修道院で育ってきたか、それか養子として預かってもらえたか
どちらかです。
どちらにしろ僕の憶測でしかありませんが。
僕に判るのはここまでです」



スッと立ち上がって雪男は部屋から出た。





「―――クソッ!」

雪男の声と
殴られた壁の音が
誰もいない朝方の廊下に吸い込まれて消えた
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