青の祓魔師d

□淡
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『雨は一生かけても好きになれる気がしないなー…』

隣で歩く名前が雨粒を溢す鉛色の空を見上げて呟く。


「何で?」

『えー、だって空気がジメジメしてて、私の気分がドンドン沈んで行ってしまうし
あれ、竜士は好きなの?雨』


カラカラと笑いながら今度は俺を見上げる


「あー、俺は好きやなー
だって雨やったら相合い傘できんねんで?
せやし俺は雨好きやわー」

きっと今の俺は
志摩並にヘラヘラした間抜け面やと思う

『あ!そっか、じゃあ私も雨好きだなー』
途端に名前も俺に負けず劣らずの間抜け面になる

「なんやその間抜け面」『あー!自分だって物凄い間抜け面だったくせに!』





ほんまは、雨が好きやったわけやない
でも、ただでさえ会える時間少ないし、付き合ってすぐでぎこちなかったりした俺らを
唯一、自然と近づけてくれる時間をくれたから
そん時だけは雨がほんまちょっとだけ、好きやった









何回思い返してんやろうか。

初めて、寮まで名前を送っていった雨の日のこと。
あん時感じた冬の暖かい雨は
夏のはずの今、どこまでも冷たて、イタイ




目ぇ閉じたら名前が俺を呼ぶ




こんな寂しい感情を俺は知らん




(なあ、名前)
(聞こえてるといいな、竜士)
(俺な、やっぱり名前を)
(私は今でも竜士を)



愛してる

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