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□くりすます
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現在、21:30
MerryChristmas
と書かれたチョコレートの乗ったケーキ。
ちょっと頑張って作ってみたんだけどな。

今年は一人で食べることになりそう。

ケーキまで自給自足な辺りがものすごく悲しい。



一人で物思いに耽って
ふと窓の外に目をやると
雪。


一人を嘲笑うかのような雪。


明日はホワイトクリスマスだったりして。

ムカつく。


『全部雨になりゃいいのに』
びっしょびしょだ。

くっそー…


きっと外は相当寒いんだろう
ベランダの手すりに少しずつ雪が積もっていく。



うー…こういうときこそ、神威がいてくれたら




「おーーーい」


ああああ重症だ幻聴まで
「人麻呂ー!」

え、もしかしてホントにいる?

「あーけてよーー、開けてくれないとー」

外からの声に急いで玄関に走る


「殺しち『殺さないでよ!』お、」


開いた開いたー
なんていつもの笑顔で笑う神威。



『うわ、寒い っグエ』

「もっと色っぽい声とか出ないの?」

いきなり抱きしめられた衝撃で
女とは思えない声を出してしまった

『出ません。
何でまた急に?』

「んー、高杉クンが祭りだって言ったから来てみたんだけど、嘘つかれたみたい」


神威が人のことをクン付けで呼んでる…!
なんか笑顔超怖いし!


「だから人麻呂に会いに来たヨ」

はやく入れてよ
と言いたげな顔を向ける神威から離れて道を開ける



『ねえ、ケーキあるんだよ』
「手作り?」『もちろん』
「俺が全部食べていいんでしょ?」
『えー?!』
「じゃあ、ケーキよりも人麻呂にしよっかなー」
『ばか!』




気付いたらさっきまでの寂しいとかの気持ちはなくなっていて
すごく、胸の内側が暖かくて
神威がいるだけでこんなにも幸せになれる私は
どこまでも単純だと思う

だけど、なんだか神威一人にこんなにも感情を左右されるのは悔しいから絶対に
会えて嬉しい
みたいな事は言ってやらない
私は素直じゃないから
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