the others
□will belong
1ページ/1ページ
『リドル君はさ、いつも一人だけど寂しくないの?』
「僕のどこが一人に見えるんだい?いつもいつも視界の端に鬱陶しい赤のローブが見えてるよ」
『あはは、それって私のことかな?鬱陶しいは傷つくなあ』
「鬱陶しいことこの上ないよ、グリフィンドールってだけでも最悪さ」
『でも、何だかんだ言って孤児院からずっと一緒だね。昔のリドル君は可愛かったのに。今じゃすっかり悪に染まってるもんね。…あ、小さいときから悪かったか!あははは』
「うるさい、少しは黙れ」
赤い瞳が私を睨むけど、それが怖いとは思わない。
むしろ、優しさを感じられる。
孤児院で一緒に育って、ホグワーツに入学して
スリザリンとグリフィンドールで寮こそ離れたものの、私たちはよく一緒にいる。
いろいろ文句は行ってくるし、嫌味も言うけど、結局夕食後には決まって私より先に図書館のこの一番奥のソファに座って待っていてくれる。
彼が生に執着するあまり、とんでもないものを学生にして作り上げたことも知ってる。
そのために、どんな事をしたのかも。
だけど、それで出来上がった日記を託されたことも、お前も作ればいいのにと小さく呟かれた事も
もっと小さな事なら、毎日話してくれることも
全部が私にはとても大きな幸せ。
トムが人を愛さないと知っていても、なお彼を愛そうとする私は本物の馬鹿なのかもしれない。
だけど、私が隣に立つことを彼は許してくれるから、だから今の私がいられるんだと思う。
「急に黙ってどうした」
『世の中で本当に強い人間とは、孤独でただ一人立つものなのだ…だっけ』
「何だそれ」
『トムの大嫌いなマグルの言葉だよ』
「ふん、マグルもたまにはまともなことを言う」
『でもさ、これリドル君には当てはまらないよね。隣には私が立ってるし。』
「…僕が独立してればいい話だ。それに、孤独かどうかなんてのはそいつの心境の問題だ」
『うわ、それ屁理屈って言うんだよ』
知るか
の一言で一蹴して、またトムは本を読み漁る。
いつもは言わないような屁理屈に笑いそうになったけど、ここで笑うと彼は不機嫌になってしまうだろうから我慢をする。
私が立つことは拒否しなかったことにまた幸せを感じる。
『ねえねえトム、大好きですよ』
「また、そういうことを…そういうのはアブラクサスにでも言ってやれ」
『何で!?あの人は関係ないし、私はトムが良いんだよ!』
この幸せが何人の不幸の上に成り立っていたとしても、この気持ちを世界中の人から非難される日が来たとしても
私は、彼を愛そう。