HPd

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気が付くと、真っ暗な中にただ1人でぽつんと横たわっていた。


『なにここ…』

ぼーっとした頭で何があったのか必死で考える。



『あーダメだ、思い出せない…』




立ち上がることはできたから、高さはそれなりにある空間なんだろう。

自分の手の平すら見えないくらいに暗い。
光は一切ない。

手も真っ直ぐ伸ばしても何にも当たらない。




とりあえずここから出ないと…


怖いなんて感情は心の奥に押し込んで、ゆっくりと歩き出す。




10歩歩いたかどうかというとき、伸ばしたままだった掌に壁の冷たい感触が伝わった


『うわっ』


「…名前、気が付いたのかい?」

「トム・リドル」

「よく声だけでわかってくれたね。」

「ここから出してください」


リドルの言葉には返事もせずに一方的に話しかける。

「もうちょっと待ってよ。それより僕と手を組まないか?」

何を言ってるんだこいつは。
それしか頭になかった。

手を組む?
私が?
リドルと?
何のために?

たくさんの疑問が湧きあがったけどそれらを一つも質問することはなかった。



「君はたぶん、気づいていたんだろう?僕がただのヴォルデモート卿の記憶だってことに。」


『…なんで知ってるの』

鎌をかけてる?
でも、そんなにもリスクのある事をこの人が聞いてくるはずない。



「まあ答えなくてもいいよ。聞かなくても答えは判ってることだし。」

まさか、あの初めて日記を私が掴んだ時から知ってた…?



「君の魔力はあの小娘のような凡庸なものではない」

きっとジニーのことを言っているんだろう。

「何が違うのか僕にもはっきりは分からないよ。でも、君の魔力は僕をより強く確実な存在にする。これは僕が一個体として復活するのに何よりも良い利点になる。
君の利益なら、そうだね、まずあの小娘がこれ以上魔力を僕に吸い取られることはなくなる。
2つ目はこれは僕の予測でしかないけど、君何か目的をもってここにいるんだろう?
悪いけど君の私生活を少しだけ覗かせてもらったよ。目的までは見れなかったけど、必死になって無言呪文を身につけようとしていたり、上級魔法を習得しようとしているのは見えた。

きっと、僕の今の知識量はきっと君の役に立つよ。
この知識を惜しみなく差し出そう。」




いつの間にか探りを入れられていたことに気づけなかった。
確かに、この人の知識量が手に入るなら、随分と有利になるかもしれない…


「断るわ」


「あなたがいつ私を裏切るかもわからない。そんな危険人物と手を組む馬鹿がいると思うわけ?」


「まったく酷い言われようだな」
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