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別れというのは、あまりにも突然で残酷だ。
この悲しみも他の感情と同じように、時が経てば忘れてしまうのだろうか。
この感情は、確かにここにシリウスがいたという証明。
絶対に忘れちゃいけない。
バイトが終わり、いつも通りに帰宅した24時。
いつもと変わりない明るい部屋の中。
テレビの音もいつも通り。
1つ違うのは、シリウスのおかえりの声。
またテレビつけっ放しで寝たのかななんて思いながら扉を開けば、そこに姿はない。
襖を引いて和室を覗いても真っ暗な部屋。
トイレも、お風呂も、どこにもいない。
リビングのテーブルには、さっきまで飲んでいたのだろう
グラスに水滴が付いた冷たいままのリンゴジュース。
焦りと不安がこみ上げる。
信じたくない。こんなのってないよ。
グラスの横に置かれた、紙切れ。
そこにはシリウスの字が並んでいた。
「ありがとう」
の走り書きされた文字と、Luで途切れた言葉。
すべてを悟った。
そうか、じゃあもう。
シリウスは、
気づいたけれど、信じたくなかった。