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「うわすごい…」
電車を乗り継いでバスに揺られて、山間の村に来た。
シリウスがバスから降りてまず最初にそう呟いた。
見る限り山と田んぼしかない。
私自身、田舎には縁のない都会育ちだからこの光景を楽しみにしていた。
テレビや本でしか見たことがなかった。
地図と睨めっこをしながらシリウスの手を引いて民宿を探して歩き回った。
「日本だ…」
民宿を前にしたシリウスの意味のわからない感想は無視してとにかく中に入ると
冷房の効いた涼しい空気と奥さんの声に出迎えられた。
民宿だから、本当に日本家屋を少し改装した
という感じで、中居さんというより奥さん。
部屋に通してもらう間も、ここのオススメを教えてくれたりと、話は尽きなかった。
『ところで、そちらの男の子はハーフ?』
『あ、はい。姉の子で夏休みで遊びに来てたんです。』
『コ、コンニチハ!』
どこで覚えたのか片言ながらも日本語で挨拶をした。
『あら、日本語上手なのね』
「日本語上手だねって」
『アリガトウ!』
シリウスは褒められたのが余程嬉しかったのか
異常なまでの笑顔で部屋へと入って行った。
その後、諸注意をすると奥さんはすぐに去って行った。
「シリウス、遊びに行こうか」
「うん!」