HPd

□10
1ページ/3ページ

浜に戻ってからは
ビーチバレーみたいなことを二人でやった。
人数は当然足りないし、日本語がわからないシリウスを
他のグループの中にいれるわけにもいかないから2人でコートを使った。


シリウスが負けたら絶対砂に埋めて
頭だけ出すアレをしてやろうと企んでたのに

妙に強くて、いいところまで行ったけど
結局負けてしまい
帰り道に、外食させられることになった。




その後はかき氷を食べてみたり
貝殻を拾ってみたり…

2人ではしゃいでいると、時間はあっという間にすぎてしまった。




「夕焼けってこんなにも大きいんだね」

更衣室から出てきたシリウスが
夕日を、眩しげに目を細めて眺めながら言った。

「素敵だね」

真っ赤な太陽に照らされて、目を細める。



暫く
眺めていたけど
日が沈む前にバイクに乗った。





「シリウス、何食べたい?」

「和食」

『おお…和食か、えらくざっくりとした…』


ビーチ近辺の地理はまったくわからないから
家の近辺で探す事にして、スピードをあげた。






高速を使ったら半時間程で家付近まで帰ってこれたから
少し都心の方まで出てきて
いろいろお店を探して
やっとの思いでみつけた、小料理屋的なところに入った。


建物の雰囲気からしてたぶん和食!
適当な理由でお店に入ると
割烹着を着たおばさんが、カウンターに立っていた。



『いらっしゃいませ。空いてるお席にどうぞ』


おばさんの声はとても柔らかくて

なんだか分からないけど、記憶すらない母親に無性に会いたくなってしまった。



「シリウスは何食べるの?」

カウンター席に座ってから
ずっとメニューと睨めっこしている。
一応、これは何あれは何って教えたのだけど…。


「んー…たこわさ」

『ぶはっ!!た、たこわさ…!?うははは』

静かな店内に、シリウスの英語訛りの"たこわさ"と言う声と
私の吹き出した声が響いた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ