HPd

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いつもの帰り道
何の気なしに、小さい頃によく来た公園に立ち寄った。



うわブランコ小さい… 
子供の頃は大きく感じていた遊具の本当の大きさに
少し驚きながら芝生の上を歩いていると
小さな影が目に映った。


え!?何、こども!?
ベンチに座る影は小さく、足を抱えて
街灯に照らされている。





『き、きみ…どうかしたの?』

子供が苦手な私もさすがに無視して通り過ぎることもできなくて
その影に声をかける。


ゆっくりと顔をあげたその影は
まだ10歳にも満たない程の小さな男の子
日本人らしからぬグレーの瞳に高い鼻をもった
ハーフというよりも外人と言った方が納得できる
そんな顔だちをしている。


男の子は何を言うでもなく、また目線を下に向ける

『お父さんや、お母さん、心配してるんじゃない?』
恐らく通じていないであろう日本語で
再度話しかける。



子供に似つかわしくない、疲れた顔をするその子が
一瞬目を見開いてから訝しむような目を向けた。


「I can't hear you」


小さく開かれた口から
押しだすように零れたかすれた声に
苦笑いを返すしかなかった。
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