HxH

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なんで?なんで?
なんでイルミ隣で普通に歩いてるの!?
え、やだ怖すぎる!
失礼しますって言ったよね、私…



『あの、ほんと失礼は100も承知なんですけど、どうして着いてくるんですか』


「送るって言ったからね。そのお友達のとこまでついて行くよ」

ケロっとした顔で、そういうことを言われると
さすがに、嘘を吐いた事実に心が痛む。

「約束してる場所はどこなの?」

首を傾げながら聞いてくるイルミの姿に
正直、もう今が現実なのか夢なのか全くわからなくなってきた。
いや、きっと夢だろうな。
まだ現実の私は、ホテルのベッドでぐっすり眠っているんだ。
傷心旅行だもの、いい夢を見ようって脳みそが休もうとしてるんだね。

都合よく色々と理解しておこう。


『ごめんなさい。嘘なんです。
実は、道に迷ってしまって、ここがどこなのかも分からないんです。
えっと、確か…このホテルに戻りたいんです。それか、この浜辺なんですけど…』

カバンに入れたままになっていた、ロビーでもらったパンフレットを見せると
イルミの顔はどんどんと険しいものになっていく。

「何語?君、どこから来たの?」

パンフレットに書いてあるのは、紛れもない日本語だ。

『あ、えっと、日本…ジャポンです。』

イルミは訳がわからないと話し出したのは
ここはジャポンからはあまりに距離がありすぎると言うことだった。

「君、噓吐いてない? さっきの念といい、怪しいよね。」

言った直後から、全身を刺すような悪寒と恐怖に襲われて脚が竦んでしまった。
きっと、これが本当の殺気というものなのかもしれない。


『し、信じてもらえないかも、しれないです…
でも、本当なんです!』

ただ…と、続けて
今自分が置かれている状況、夢だとはとても思えないけれど
自分でも信じられない事を話した。

『馬鹿げてますよね…でも、本当なんです』

アニメや漫画だという事は、さすがに言えないと思って伏せていたら
ならどうして、ジャポンって名前がすぐ出たの?
と、問い詰められてしまった。
鋭すぎない?? 職業柄こうなっちゃうのかな??
堪えきれずに、その事も打ち明けてしまった。
あまりにも頓珍漢で突拍子もない話。

話していて、不安に押し殺されそうになる。
涙も込み上げてくるけれど
ここで泣くのはダメだと、ぐっと堪えながら、イルミの顔を見つめた。

「名前は?」

『…っ名字 名前です…』

「いいよ。信じるよ。俺、これでも人を見る目には自信あるから」

なんの根拠があるんだとか
よく信じられるなこんな話とか
いっぱいあるけれど、それでも、今はただ
すごく嬉しくて、安心して
涙が止まらなくなってしまった。
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