HPd

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小学校に入る頃には
グループホームの生活も長くなって
少しは打ち解けていた。

学校では、高学年にもなると
それなりに友達だってできた。

中学は、知らない子たちも合同になるし
私が苦手とする子達もたくさんでてくる年齢で
本当に毎日、毎日、よくあんな場所に通えたものだと
自分に感心する。

確かそのくらいに
ハリーポッターの本とも出会ったんじゃないだろうか。



それから成人して
ハリーポッターの影響で学校では、英語だとかの語学を学んでいる。


友達だってたくさん増えた。

いつの間にか笑顔も取り戻してた。

だけどやっぱり、子供は今でも苦手。



なのに、シリウスはどうしてなのか
すんなりと受け入れられた。

本で読んでるときから
こんなの身近にいたら、絶対に近づかないわ
って、彼の子供時代のことを知った上でも思っていたのに。
それは、自分があの魔法薬学の教授が好きだから
贔屓目に見てるとか、そんなことは関係なしに。



私の嫌いなあの、『元気な』子どもそのものなのに。



可愛いって。
守ってあげたいなって。
そんなことまで思ってる。

彼が特別な存在だから?
彼と私の接点なんてなかったはずなのに
それでも出会えたから?

理由なんてわからずとも


彼は、私の中で
知らず知らずのうちに
大切な存在になっていっていた。




うるさくて、失礼で、単純で、バカな
シリウスがとても、愛おしく思う。



「名前、何考えてんの?」

「回想してた。昔のこと。」

「あー名前おばさんだから
思い出す事いっぱいあって大変だね!」

「…私シリウスのことやっぱり大嫌い」

「え!!やだよ、僕は名前のこと大好きだよ!?愛してる!」

「軽いから嫌いです。」

「名前だけだよ!」


前言撤回。
愛おしくなんか思わない。
やっぱりシリウスはただの元気な子どもだよ
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