HPd

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な、何をしてるんだ…私は



レポートに使う資料でも見ようと
その棚まで歩いてから、自分のしたことに後悔した。



『ああ、穴に入りたい…そのまま生き埋めになってもいいくらいには恥ずかしいぞ…』


それでも、シリウスのもとに戻らないのはおかしい
と思って、すぐに参考になりそうなものを
数冊選んで、戻った。



『うわ…なんだアレ…』

戻って目にしたのは
なんだか良く分からない人だかり。
人だかりって言っても、4〜5人だけだけど。




あー…きっとあの間から見える
黒いストレートの髪はたぶん、シリウスだと思う。
もちろん周りは女の子たち。

『あー…なんかすごくめんどくさい…』





『やー、可愛いー!』
『ハーフ?』
『首かしげてるよ!日本語わからないのかな?』
『あー、まつ毛長いね!色も白い!いいなあ』
『髪さらさらじゃない!』


皆、私が触れた事もないような
ほっぺをつついたり
さらさらの黒髪に指を通したりしている。


そのさらさらは!
うちのトリートメントのおかげよ!
その前からさらさらだったけど…!

分からないのかな?って言いながら
日本語ではなしかけ続けてんじゃない!

ハーフじゃない!純粋な外人よ!ステータスよ!


なんかもう、自分でも意味のわからない事ばかり心の中で繰り返す。




「ごめんねジョン、待たせた?」

「名前!」

女の子たちの後ろから声をかけると
勢いよく、その人たちの間を縫って飛び出し
鳩尾辺りにタックルされた。



正確には抱きつかれたわけだけど
正直これは、タックルとしか言えない…




私を見ると女の子たちは
一気に熱が冷めたのか散り散りになった。


7歳相手になにやってんだか。

あの子たちもそうだけど

自分も。
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