HPd
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シリウスのお陰で、バイトの疲れなんて吹き飛んでしまった。
きっと私は今
世界中で1番幸せ者だろうな
ゼリーを口に運ぶ度、そう感じた。
おいしい
と
ありがとう
しか言えなかったから、そこは語彙力不足が悔しかった。
だけど、それでもシリウスは満足気だった。
「最近ぜんぜん一緒にいれないね」
「うん、でも名前が頑張ってると思うと僕寂しくなんかないよ!」
「ほんと?私は寂しいなーあはは」
大袈裟に言ってシリウスに抱きつくと
顔を真っ赤にしていた。
「んふふ、可愛いなあもう!」
「か、か、可愛くなんかっ!!」
グループホームにいたとはいえ
家族というものをしらない私には
シリウスと過ごすこの時間が
とてつもなく幸せだ。
彼が来てから
何回目になるか分からない
ありがとう
を、心の中で伝える。
「あ、そうだ明日はうちの学校に来てみる?」
「…行けるの?」
「まー、バレなきゃいいでしょ」
訝しげなシリウスに
ニヤっと笑っていうと
同じような笑顔と一緒に
楽しみだなー
という返事が腕の中から返ってきた。