原作沿鼬長編伍
□巻ノ128
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サ「………」
鼬「………」
サ「もう、何を言っても無駄なようだな」
鼬「………」
サ「アンタを見かけたとき、トビやダンゾウの言ったことが本当なのかどうか確かめたいと、アンタについてきた。姉さんには一度本当なのか問うたが、アンタの口から聞いてみたかった。…だが、確かめられたのはそれだけじゃなかった、」
サスケはイタチの背に向け
そう語りかける。
サ「アンタと居ると、昔を思い出す。…兄を慕い、姉に憧れていた、幼い日の気持ちをな」
鼬「………」
サ「だからこそなんだ。昔のような仲のよかった俺達兄弟に近づけば近づくほど、アンタや姉さんを理解すればするほど、アンタを苦しめた木の葉の里への憎しみが膨れ上がってくる前にも増してどんどんそれが強くなる」
鼬「………」
サ「だが、姉さんを苦しめたのはうちはマダラだ。俺は新たな力とやらを託されて、姉さんの死を目の当たりにして、それに対する憎しみも芽生えた。」
鼬「………」
サ「アンタが俺にどうして欲しいのかはわかってるつもりだ。アンタは俺の兄だからこそ、俺を否定するだろう。でも俺もアンタの弟だからこそ、アンタが何を言おうと止まらない。ここで兄さんが里を守ろうとも、俺は必ず里を潰す。」
鼬「………」
サ「そしてうちはマダラも。…姉さんは俺に、俺のやりたいことをやって欲しいと言った、俺はアンタ達の仇を取りたいだけだ」
鼬「………」
サ「…さよならだ、」
カブトが印を結び終える。
鼬「穢土転生の術"解"」
サ「(…兄さん、)」
イタチの身体から
天に向かって強い光が立ち込めた。
鼬「まだ…間に合う、」
サ「?」
鼬「少しずつ意識が遠退く感じだ、」
サ「……!」
鼬「さよならの前に、お前が確かめたかったことを教えよう、…もう嘘をつく必要は無い。」
サ「………」
鼬「お前と別れたあの夜、俺のやったことはダンゾウやトビの言ったとおりだ」
サ「!!」
鼬「お前に全ての真実を見せよう」
サ「!!」
イタチはサスケに
写輪眼で自らの記憶を見せた。
シスイの死の真実、
木の葉とうちはの確執、
木の葉からイタチに下された極秘任務、
寧々がうちは側についたこと、
そしてイタチの命を狙ったこと、
ダンゾウの脅し、
仮面の男との契約、
そしてあの夜の父と母の姿。
鼬「これで二度と言うことは無い、俺は全ての真実を失った。もう二度と…」
サ「………」
鼬「俺はお前にいつも許せと嘘を付き、この手でお前のことをずっと遠ざけてきた。お前を…寧々を、巻き込みたくはなかった。」
サ「…!」
鼬「だが今はこう思う、お前が父を母を、…うちはを変えることができたかもしれないと。俺が初めから寧々やお前と向き合い、同じ目線に立って真実を語り合って居れば…」
サ「………、」
鼬「失敗した俺が、今更お前に上から多くを語っても伝わりはしない。だから今度こそ、本当のことを、ほんの少しだけ…」
イタチはサスケに近づき
額と額を重ね合った。
鼬「お前はずっと俺のことを許さなくていい。」
サ「!」
鼬「お前がこれからどうなろうと、俺はお前をずっと愛している」
イタチはサスケの目を見て
微笑むと、そのまま
眩い光となり消えていった。