原作沿鼬長編伍

□巻ノ121
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『!?』

サ「!?」

鼬「………」




































彼の首にしがみ付いていた腕を
イタチにより引き剥がされ
落下する、と思った寧々だったが
急に体がふわりと浮いたことに
驚き、無意識に瞑っていた目を
恐る恐る開ける。




























『…イタチ?』

鼬「………」

『…なんで、』

鼬「…俺は今、操られてるわけではない」

『………』





































寧々の体を
支えていたのはイタチだった。
やはり足をとめることだけはなく
寧々を横抱きにして先を急ぐ。


























サ「…チッ、イタチ!!」

鼬「………」

サ「アンタがこうして俺の目の前にいる…聞きたい事が山のようにある!!」

鼬「…後にしろ、と言っても聞かないか……」

サ「アンタが言ったんだ!!俺と同じ眼を持って俺の前に来い、と!!」



























サスケはイタチを追い続ける。


























サ「なら何故逃げる!?俺に嘘を付いた後ろめたさか!?それとも真実を語る勇気がないからか!?」

鼬「………やはりマダラか、」

『…ごめんなさい、止めようとしたんだけど、意識を失ってるうちに…』

鼬「……そうか、」


























イタチは寧々にだけ
聞こえるよう訊ねると
寧々も同じくイタチにだけ
聞こえるよう答えた。



















サ「俺はもうアンタの全てを知っている!!だから俺は木の葉を潰すと決めたんだ!!」

鼬「お前と戦った時、言ったはずだ…人は思い込みの中で生きている、そう考えられないかと。その現実は幻かもしれない、と。俺の真実が本当に…」

サ「俺はもう幻の中にはいない!!アンタの幻術を見抜ける!!」

鼬「………」

サ「これはアンタの眼だ!!」















サスケは声を荒げてそう言った。




















鼬「強気な物言いは変わってないが、お前の後のことは人から聞いた。随分と変わった…」

サ「違う!!アンタがかつて俺の全てを変えたんだ!!」

鼬「………」

サ「俺は死ぬはずだった!両親と一緒にアンタに殺されるはずだった!!なのに…」

『………、』

サ「何故俺だったんだ!?何故、俺と姉さんだけ、残した!?」

鼬「………」

サ「何故、俺が…!!父や母と何が違う!?何故俺ばかりが…」

鼬「お前は当時何も知らなかった、うちは一族の愚考も何も…。子供だった。そして寧々はうちは一族ではないだろう、愚考こそ知っていても、巻き込まれるべき存在ではない」

サ「………、」

鼬「そしてお前の為だけではない、俺はうちはであるお前の手でいつか裁かれたかったのだと思う」

『(うちはである、お前の手で、)』
























寧々はかつて一族の人々に
命じられ、イタチの監視、そして
イタチの暗殺を託されたことを
ふと思い出した。
やはり自分がイタチ手をかけず
よかった、と。






















鼬「その為にお前の中の憎しみを利用した、だから失敗したんだ。結局俺はお前たちに憎しみを与え、里を抜けさせ、罪人にしてしまった。」

サ「………」

鼬「お前達が正しい道を歩いていくことを願っていたのに、」

『(正しい、道…)』

鼬「俺は死ぬ以前より…お前たちが違う道に行かぬよう、分かれ道のない一本道に誘い込むようにした。道案内の立て札を嘘と瞳力で書き換えて、な…」

『………』

鼬「寧々が里を抜ける"原因"となった者、それを防げなかったことがまず寧々をその道から外れさせることとなってしまった」

サ「…何も知らず俺だけ呑気にその一本道を歩くだけか…!?俺はそんな道を望んじゃいない!!」

鼬「あぁ、確かにそうだ、どう行くかは自分で決めるものだ、」

サ「いくら立て札を書き換えようと、もう俺の眼はその上塗りを見抜く!!」

鼬「フッ…」

『?』

サ「何がおかしい!?」

鼬「いや……道案内は何も、立て札ばかりじゃなかった、んだな…」

サ「!?」

『…?』

鼬「俺は本来死んだ人間…これ以上は語るまい」

サ「…!アンタは生前、俺にかまってくれずいつも許せ、と額を小突き逃げるだけだった!!死んだ今でも逃げるのか!?」

鼬「逃げている訳ではない、言ったはずだ、やらなければならないことがあると」

『何度も聞くけど、そのやらなきゃならないことって何なの!?』

鼬「………寧々、」

























イタチはサスケに聞こえぬよう
小さな声で寧々の名を呼んだ。






























鼬「無事にこちらの世界に戻って来れたんだな」

『!』

鼬「少しは、幸せな"夢"を見れたんだろう?」

『な、んで…』

鼬「………」

『あの世界で見た夢は、ただの夢じゃなかったの…?』

鼬「お前が正しい道から外れたのは俺の所為だ。ならば俺が正してやらねばならないだろう?」

『……!』

鼬「…戻ってきてくれて、ありがとう」

『!!』























イタチは寧々の目を見つめ
そっと微笑んだ。

































しかし寧々を見たその眼は
万華鏡写輪眼だった。
































『イ、タチ…!?』

鼬「………」

『な、んで…』































寧々はイタチの幻術に堕ちる。
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