一夜ノ恋愛

□let it go
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泥「だああああああああああああ!また失敗だ!うん…」











サソリの旦那が死んで早一ヶ月。




オイラは何か変だった。





集中できねぇし、やる気もでねぇ。
しかも良い作品ができねぇ。









こんなんじゃ芸術家として失格だ…。













泥「旦那…オイラはどうしたらいいんだ?」













デイダラの孤独を包むように差し込む月明かり。
しかしそこに彼が求める温もりはない。















泥「逢いたいぞ、旦那ァ…」













目頭がジンと熱くなる。
あぁ、これは…涙か。
オイラもまだ泣けるんだな。












旦那が死んで、寂しくなんかないって思ってたけど、
こうしてずっと一人だと、寂しさを感じる。















鳶「せんぱ〜い!!なーにしてるんですかァ?」




泥「うわ!トビか…うん…」







突然後ろからサソリの後釜であるトビが声をかけた。















鳶「あれェ?元気ないですねェ?」



泥「うるせェ。ほっとけ」



鳶「………。」




トビは一瞬黙る。









鳶「あ、もしかしてェ…サソリさんに会いたいとかァ?」



泥「…べつに、…」







トビは仮面の下でニヤニヤしてデイダラを見る。











泥「オイラは寂しくなんかない!造形の邪魔すんな!うん!」



鳶「ですよねェ!先輩が寂しいなんて言うわけないですよねェ!」



泥「………。」



鳶「寂しいって言ったら、サソリさんに会わせてあげようと思ったんですけどねェ〜」



泥「は!?何いってんだお前!サソリの旦那は死んだんだぞ?うん」



鳶「僕の術を使えば簡単に会えますよォ?」



泥「………フン。信用ならねェな!」



鳶「先輩酷ーい!少しくらいは信用してくれても…」



泥「……面白ェ。信用はしねェけど、やってみろ」







トビの言ってることが本当かどうかはわからない。

けどオイラは旦那に会いてぇんだ。うん。






だから、少しの期待に賭けてやる!















鳶「わ〜い!じゃあ、行きますよ〜?」



泥「………!?」














トビはどこからか取り出した水晶玉を宙に放つ。
デイダラは水晶玉を不思議そうに見つめた。








そして、月と水晶が重なった瞬間……





























デイダラの姿が消えた。




















鳶「…ククク。“限定月読”の練習台になってもらおう。」










トビの隣の床からゼツが姿を現した。














絶「えー。デイダラにまでかけちゃったのぉ?」『先輩で遊ぶのも程々にしておけよ』




鳶「デイダラはサソリに会いたがってる。あのまま気が抜けっぱなしだったら殺されるぞ。」















限定月読とは、相手が術にかけられる瞬間に
一番強く望んだものがある幻術世界に行くことができる術。









デイダラが望んだ世界とは……
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