原作沿鼬長編伍

□巻ノ129
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身体がゆっくりと
沈んでいくのを感じる。
















ここは…、
どこなのだろう。































私は…、一体……

































重い瞼を開けて
自分の居場所を確かめる。





























幾多の水泡が上へ上へと
上って行く。



























水泡が上がって行くのと比例して
私の身体は徐々に沈んで行く。







































感覚なんてものは無い。






























そうだ、私は
死んだのね。
























全て、終わったんだ。
黒呪眼も封印した。
前任者達を呪縛から解放した。
サスケに新たな力を託した。
私の封印したチャクラに呼応して
彼はきっと輪廻眼を手にする。
それがマダラを倒せる唯一の方法。





























やるべきことはやった。




















イタチ。
サスケ。
私、今まで、
幸せだったよ。

















サスケ…
本当はまだ、
死にたくない。
まだ、サスケの傍に居たい。
ずっとずっと
アナタを見守りたかった…
もしも、また生まれ変わるのなら
今度こそ、イタチと…























そう口にしようとしても
声が出なかった。























身体から何もかもが
奪われていく感覚。



























私とは、
なんだったのだろう、
私とは、
何者なのだろう…






















私自身が、私自身から
奪われていく。
そんな感じだった。

































死ぬ、っていうのは
こういうことなのかな?




























全てが無に変わるということ?































楽しかった思い出も
悲しかった出来事も
大変だったことも
幸せだったことも
辛かったことも
なにもかも、
消え去るように
忘れていくのね、
きっと。











































『…、』
































やはり、声は出ない。
もうアナタの名を
呼ぶことも出来ない。
もう私自身のことも
わからなくなる。












































背中が何かに触れた、
と同時に私の身体は
沈むことが無くなった。






























あぁ、ここは水の底。
底とは?
水とは?







































このまま何もかも
私から消えていくのね。





























私は最後に目を開けた。
ずっとずっと上から
眩い光が射し込んで来る。


































ずっとずっと上の
水面には何があるのだろう?
天国なのかな?
ということは
この冷たく仄暗い水の底に
沈んだ私は、
地獄に堕ちたのかな?
そもそもそんな概念は
本当にあるのだろうか。






























考えようとも
もう脳が働いてくれない。
当たり前だ、
私は死んでいるのだから。




























もう、いいんだ。
私も、疲れたから、
だから…





























おやすみなさい。














































そう心の中で呟いて
私は目を閉ざし、
思考を巡らせることも止めた。
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