原作沿鼬長編伍

□巻ノ127
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鼬「俺を見て、俺に無かったものをお前には探して欲しい。だから、俺を完璧だったなんて言ってくれるな」

サ「………」

鼬「まずは…、ありのままの自分を自分自身が認めてやることだった。そうしさえすれば誰に嘘を付くことはなかった、サスケにも、寧々にも、…俺自身にも。」

『………』

鼬「嘘に信頼は無く、背中を預ける仲間は出来ん。そして嘘は本当の自分すら見えなくさせる。」

『イタチ、私はアナタを…、ゲホッ…!』

サ「!姉さん、!」















口から溢れ出す血が
寧々の言葉を邪魔した。






















『…ッ、ハァ、ケホ…、』

鼬「…穢土転生を止めるより、お前の封印を急いだ方が良さそうだな。」

『…っごめ、ん、』

鼬「いや、構わん。…それに、俺はお前の"黒呪眼"を父上に託されているからな」

『…お父様が……?』

鼬「あぁ。……一人で封印に取り掛かるのは危険が伴う、いつどこで誰がそれを狙っているかはわからない。」

『………、』

サ「さっきから、黒呪眼やら封印やら、何の話だ?あとはカブトに月読をかけて術を解かせるだけなんだろ?なら、」

『…サスケ、今からアナタに黒呪眼を封印する』

サ「!」

『…本当はこんな状況でする予定では無かったんだけど、マダラの呪印は想像以上に私の黒呪眼のチャクラを蝕んだの、…だから私にはもう時間が無い、』

サ「…時間が無い、だと…?」

『…黒呪眼が術者の命を糧にして、チャクラを生み出すものなのはわかってるでしょ?私は黒呪眼を酷使し過ぎた。もう糧となる命が残ってないの、今、身体の中に流れている元来私自身が持つチャクラが尽きればそれでもう終わりよ。』

サ「………確かにマダラの呪印に抗うのに黒呪眼を使っていたようだが、姉さんはまだ…命が尽きるような年ではないだろ?黒呪眼の前任者達も皆こういう末路なのか?」

『…前任者達と、私では、訳が違うのよ、』

サ「?」

『…黒呪眼とは黒木一族の中でも稀な力。うちはの血を色濃く受け継いだ私の身体には術のリスクが大き過ぎた。』

サ「なら何故、うちはの血を色濃く受け継ぐアンタが黒呪眼を持っている?黒呪眼とは黒木一族の稀な力なんだろ?」

『……この力は前任者の直接的祖先数人にしか遺伝しないものだとされていた、しかし本当はそうではなかったのよ。』

サ「どういうことだ?」

『…黒呪眼は尾獣のようなものと考えていい。それを封印する器はどんな血が流れていても厭わない。ただ黒木一族の血であればそのリスクに耐えられるというだけ。』

鼬「………」

『そして、私は遺伝で黒呪眼を発眼した訳ではない。それは前任者達も皆そう。』

サ「…?」

『…生れ落ちたその瞬間に、黒呪眼の前任者である母親が私の身体に黒呪眼を呪いとして託したのよ』

サ「何故母親は姉さんにそれを呪いとして託す必要があった?」

『母さんは操られていたの、写輪眼の幻術によって』

サ「…!写輪眼の幻術だと?一体誰に…」

『…マダラよ。』

サ「!」

鼬「!」






















マダラは母さんが私を孕んだ時に
彼女から黒呪眼の封印術を奪った。

黒呪眼は呪いとして
愛する者の子に受け継ぐ事で
禍々しき力を残したまま
その眼を与えられる。

しかし母さんは黒呪眼の力の
恐ろしさをわかっていた。

黒呪眼を呪いとしてではなく
封印として私に与え
未来永劫その禍々しき力を
闇に葬るつもりだった。

封印として与える黒呪眼は
禍々しい力は一切無く、
少し特殊なチャクラ性質などとして
受け継ぐことができる。

しかし私を孕んだ矢先
マダラの幻術によりそれは
敵わなくなった。











鼬「…あの時読んだ巻物とは随分話が違うようだが?」

『…恐らくあの巻物マダラが書き換えたもの。』

鼬「…ならお前は何故、書き換えられる以前の真実を知っている?」

『………母さんに会ったのよ、』

鼬「!」

『…限定月読の直後にね、』

鼬「…そうか、」

『…で、私が何故サスケに黒呪眼の力を封印したいのか、ということだけど』

サ「………」

『…黒呪眼を封印という形で受け継いだ場合、この禍々しき力は未来永劫復活することは無い。永久に葬ることができる。そうすればこの力を狙う者も居なくなるし、この力に苦しむ人も居なくなる。黒呪眼なんてあったところでなんの利点も無いのよ。』

サ「姉さんは黒呪眼をこの世界から消したいということか…?」

『…そう、それは私の為だけじゃ無い。黒呪眼は呪いとして受け継いだ場合、呪いをかけた者は死んでも尚、黒呪眼の呪いの呪縛に苦しむことになる。事例は無いけど、もし私が黒呪眼を持ったまま死んだとしても呪いの呪縛に苦しむことになる。誰かが死体から黒呪眼の力だけを抜き取ることも出来る。要するにこのまま死ねばマダラのような考えを持つ者にこの力を利用されて世界は終わるってこと』

サ「………」

『…ただ誰でも彼でも、黒呪眼を扱うことはできない。それなりの器で無ければね。そしてもう一つ、黒呪眼を封印として未来永劫力を葬ることが出来たら、死んでも尚呪いの呪縛に苦しんでいる前任者達を、その呪いから解放することができる。私は前任者達を呪いから解放したい、それが母さんがしようとしていたことでもある』

鼬「……解放、できるのか?」

『…これは里を抜ける前に黒木一族の城の跡地に出向いた時に読んだ巻物に記されていた。あの城は黒呪眼の継承者しか入ることは出来ない。巻物が書き換えられていることはあり得ないハズよ』

鼬「………」

『…そして何より、黒呪眼封印としてサスケに与えることによって私はサスケに新たな力を与えることができる』
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