オビト原作沿い中編

□巻ノ四
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小南「あなたたちに自室を用意した。着いて来て」


そう言って小南はイタチとねねこを
各々の部屋へと案内する。













小「ここには野蛮な輩が多いから気を付けて」

『…はあ、』

小「イタチは勿論だけど、ねねこも然程心配は要らなさそうね」

『…どういうことです?』

小「あのマダラがここまで他人に執着するのは初めて見たもの。貴女はほぼ強制的にここへ連れられて来たんでしょう?」

『………考える時間は貰ってましたけど、』




薄暗い廊下を少し見返り小南は
そっとねねこに微笑んだ。




鼬「………ねねこさん、」

『なに?』

鼬「…あなたはいつからマダラに気づいていたんです」

『気づくも何も、マダラが私の元へ現れて…、それで、』








皆までは言わずともイタチくんならば
察してくれるであろうと私は言葉を濁した。





鼬「…マダラが、わざわざあなたを暁に?」

『そうなんだけど、私もよくわからないの。』

鼬「?」

『だってうちはに優秀な忍は五万といるじゃない』

鼬「………」

『なんで、私だったのかな。私はただ、世界を救いたかっただけなのに』











ねねこが俯き思いを巡らせている間に
小南は、ここよ。と言って歩みを止めた。








小「ここがイタチ。ねねこはそっち。大したものは無いけど、自由に使って。」







そう言われて覗いた部屋は
犯罪者組織らしく見事に殺風景で
必要最低限の家具とベッドが置かれているだけだった。
仮にも贅沢とは言えない部屋だが
自由に使えるのならば自分で改良すれば良いだけだ
とねねこは心の中で呟いた。







鼬「ありがとうございます」

小「それと、クローゼットに暁の装束が入ってる。任務の時はそれを纏って行動するように」















小南はそう告げると来た道を引き返していった。















『それじゃあ、また』

鼬「ねねこさん、」

『?』

鼬「あなたの目的は何か解りませんけど、マダラには気を付けてくださいね」

『……わたしの心配ばっかりね、イタチくん』

鼬「………」

『それより、今はゆっくり休んで。何かあったら、言っていいんだよ。お話くらいならわたしにもしてあげられるから、だから、』

鼬「……ありがとうございます、」







少々不服そうなイタチくんを背に
わたしは自室の扉を閉じた。
今はイタチくんも、一人でいた方がいい。
あんな任務の後だ、
優秀な子とは言えさすがに滅入っているだろう。
それに彼は人一倍優しい子だから。
















『……オビトくん、』













里を抜ける時最低限の荷物と共に隠し持ってきた
オビトくんと幼い頃の自分の写真を
出窓の殺風景なスペースに飾る。
高く高く上がった満月がそれを照らす。














『オビトくんと一緒に世界を救いたかっただけなのに、』













一族を守ることは愚か、
クーデターを止める術を持たないのを言い訳に
ただ時が来るのを待つことしか出来なかった。
私よりも幾分幼いイタチくんは里を守るために
一族を壊滅させたけれど、
















『なにやってるんだろうね、わたしは。』















犯罪者組織だって、
オビトくんはこんなわたしを
どう思うかな。
会いたいよ、オビトくん。
私の話を聞いて欲しいんだ。
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