DEAD or LOVE (フェン×ヒロイン)

□孤島の花。
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私は 名無し 。


名も知れないこの無人島に漂流してから、どれだけ経っただろう。

私を合わせて十数人が同じ孤島に取り残されている。



少し前のことになるが、どうやら私たちは難破してしまった船に偶然乗り合わせ偶然この島にたどり着いたようだった。


船…といってもただの船ではなく豪華客船ノア号。

そして
大きな大きなあの船になぜ私は乗っていたのか、なぜあれだけ大きな船が沈んでしまったのか、私には記憶がない。何もない。


さらにその後の話し合いで私たちは、ノア号に唯一通信機能が有ること知り
助けを呼ぼうと沈みかけていた船に戻ろうとしたのだが…

まさに向かおうとしたその瞬間に船が一気に爆発してしまうという、何とも不可解な現象まで起きてしまった。


つまり
多くの謎と危険に満ち溢れたこの島で私達は完全に隔離されてしてしまったということだ。



一体どうしてこんなことになってしまったのか…
やはり何度思い出そうとしても思い出せない。



……それより今は


「ちょっと名無し。ごはんまだ〜?」


「は…はいっ、ただいま!」


「おい名無し、さっきの魚!ついでにこれも料理しろよ」


「ちょっ…そんな」

無人島にたどり着いてそろそろ体力的にも精神的にも徐々にみんな疲れ始めてる…


でも、だからって

「何で私ばっか…り「あ?何か言ったか」


思わず不満を吐き出しそうになった私を尋常でないくらいの鋭い目付きで睨みつけ、ドスの効いた声を浴びせてくるのは
ちょっと危ない雰囲気の、ヤスという人物。


私は何度かこの人に襲われかけたというのもあって
正直あまり良い印象は持っていない。


「なんでも…ないです」


彼の気迫にかなうはずもない私は
言いたいことをぐっ、と飲み込み言われた通り魚を受け取った。


誰か…手伝ってくれてもいいのに…


そう心の中では叫んだが、みんなやりたい放題好き勝手で誰も自分のことを見ようとはしない。

それに中には段々と気がたっている人も出始めて、むやみやたらと自分の意見をぶつけていてはむしろこっちが被害を被りかねない。

「はぁ……」



そんな周りの状況に一人深くため息をついたとき


不意に後ろから声をかけられた。




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