スザク×ユーフェミア

□2人の秘密。
1ページ/2ページ




「ユフィは本国で学校に通ってた頃
気になる人とか、その…

好きな人、とか
いなかったんですか」


「……え?」






とある平日の昼下がり。

ユフィは公務の合間をぬって、
スザクは訓練の休憩時間を使って
たわいもない話をしながら
笑い合っていた時

不意にスザクが口にした言葉に
ユフィは分かりやすく動揺した。



「気になる…人?」


いくら皇族だからといっても
やはり彼女だって年頃の娘。
そういう話には
どうしたって敏感になってしまう訳で。


(それを貴方が聞きますか…スザク)

さらに、聞いてきた人物が
今まさに自分の心を揺らがせている張本人なのだから、この上なく分が悪い。


「べ、別に…わたくしは
そのような方など…」


「本当に?」


まるで
全てを見透かしているかのような視線を、真っ向からぶつけてくるスザクに
たじろぐユフィ。



「……っスザ」


「本当、なんですね?」



どうして彼がこんなにも攻撃的で試すような瞳つきをしているのか
ユフィには皆目、検討もつかない。


いつもと何かが違う。



「あの…スザク」


いつの間にか背中には壁
目の前には自分の恋い焦がれる彼の顔。



「……何です?」

上から見下ろされるような体制でユフィには最早、逃げ道など無い。





「スザク、あの…どうしてこんな……


…へっ!?」


急に腕を捕まれて顔の横の壁に押し付けられた。

(スザク…)


こんな乱暴な振る舞いをしつつも
ユフィが痛がったり、嫌がったりしていないかを常に気にかけるのは

彼がユフィの騎士だからか。
それとももっと他の何かなのか。


「スザク…誰かから何か、聞いたのですか」



スザクの瞳がピクッ、と揺れた
彼女はそんな微妙な反応でさえ見逃さない。


「何を…聞いたんですか」



「………」

無言のまま上から見下ろす彼とは
目線がぶつかったまま



「スザク…答えて下さい!」



正直、今の話の流れとスザクの反応から
なんとなく心当たりがあった。



「…ユフィの」


彼がそう言いかけた時
掴まれていた腕の力がふっ、と抜けた。



「婚約者、の話ですか」


なかなか言おうとしない彼に代わって
その言葉はユフィの口から飛び出した。


「…………っ」


それを聞いた途端、
急に寂しそうな顔をするスザクをユフィは

この上なく"愛しい"
そう思った。







次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ