スザク+オルドリン
□騎士の誇り。
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「ふあ〜…疲れた〜」
新しく自分のもとに届いたKMFのピットから降りながらそう声を漏らす彼女は対テロリスト遊撃機甲部隊:グリンダ騎士団で筆頭騎士を務めるオルドリン・ジウォン。みんなからは通称、オズと呼ばれている。
実は彼女、つい最近届いたばかりのランスロット・グレイルに一刻も速く慣れようと、1人外に飛び出していたのだった。
「オズ!…勝手に飛び出していっちゃダメじゃない!」
そう言ってオズに近づく彼女は第88皇位継承者にして、グリンダ騎士団の創設者であり団長、さらには浮遊航空艦グランベリーの艦長を務めるマリーベル・メル・ヴリタニア。
その後ろにはグリンダ騎士団の中でも浮遊航空艦グランベリーのオペレーターを務めるトト・トンブソンがいた。
「へっへーん。練習、練習。ね?トト」
そう言ってオズは注意を促す彼女の周りで手を後ろに組み、軽くおどけて見せた。
「…練習ならグランベリーにもナイトメアフレーム専用のシュミレーションコックが備わってるんだから、いちいち実践しなくていいの」
確かに彼女の言う通り、ここのシュミレーションシステムはオルドリンが今まで受けてきた中でも特に優れていた。その事はオルドリン自身、身をもって体感していたわけでその事は誰よりも承知していた。
「でも実際乗った時の感覚とじゃ、微妙に違うんだもん!」
「だからって戦闘でもないのにいちいち外に飛び出すなんてあなた…
「いや〜あ、オモシロイ オモシロイ!」
ふいに後ろから声がして振り返った。
「……!?…えっと…確か、ロイドさん?」
今回オルドリン専用のランスロットを用意してくれた張本人がひょいっと2人の間に入り込む。
「ピンポーン、せぇか〜い。何、きみ実践好きなの?」
ゆるい喋り方とつかみどころのない動きに初めはとまどったオズだったが次第に慣れ、なんとなくだけれども彼が少し分かってきたような気がしていた。
「い、いえ…好きってわけじゃないんですけど。…ただ、より戦闘状態に近い方が本番も色んな状況に対応できるかと思って」
「…そう?」
「…それに私、強くなりたいんです。今より…ずっと、もっと」
大切な人たちを守れるように。
二度と、不幸にしないように。
「ふーん。
な〜んか君、彼と似てるね。
…根本は全く違ってそうだけど」
(彼…?)
ウィーン――…
「ちょっとロイドさん!探しましたよ」
「げ…セシルくん」
そう言って足早に入ってきたこの女性は、ロイドと共に今回のランスロットの件でオズも色々とお世話になったキャメロットのセシル。どちらかというと彼女の方がしっかりしてそうなのだけど…
以外とこの2人、合うのかもしれない。
「もう! げ…じゃないですよ。早く帰らないと仕事溜まっちゃいます」
「…もうそんな時間?」
「そんな時間です」
「…………。」
「ん、アレ…ロイドさん?」
…ふと、先ほどまでのつかみどころのなかった彼の様子からはうって変わって、急にじっ…とロイドに見つめられるオズ。
「あ…あの、何か?」
「君、一緒に来てみない?」
「…え?」