Imitation
□閑話@―疑問
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フォルテが取り出したのは深紅の弾丸だった。
「これは紅蓮弾って言って、撃ち抜いた相手を燃やすんだ。」
「へー、凄いんだなぁ……。
凄いと言えばジスの剣技も凄かったゼ!」
今までリルとフォルテに向かっていたビットは、ピョンとジスの膝元まで飛び跳ねた。
ぼーっとしていたジスはいきなり振られた話にびっくりした。
「ジスのことも教えてくれよ!」
ビットの顔は輝いている。
「……分かった。俺も騎士団所属で、見ての通り剣士だ。
俺にも神力は無いから、大気中にある僅かな神力と魔力を剣身に吸収させることで剣技を発動させてるんだ。」
「で・も、その吸収に時間が掛かる上に無防備になるから、必ず誰かが援護しなきゃなんないんだよなー。」
言いながらフォルテはニヤニヤ笑っている。ジスが「先輩!」と窘めるも、フォルテには一切効果がない。
「じゃあ、次は私が自己紹介するね。」
ジスが少し可哀想に思えたティアは、話題を変えることで助け船を出す。
「私は魔導団を統べる統帥の位に就いているの。魔導師だから、みんな“魔導師長”って呼んでるわ。」
「なあティア、そもそも“魔法”って何なんだ?」
「確かに……。何か勝手に木が伸びたり風が吹いてるようにしか見えないんですけど。」
騎士団の2人は魔法について詳しく知らないようだ。リルは思わず溜息をつき、ティアは苦笑いをする。
「じゃあ、初歩的な事から説明するね?」
「魔法」とは、自らが持つ神力か魔力を媒体にして様々な事象を引き起こす事である。
発動のためには、“神力”か“魔力”が必要であるが、人間は神力しか持っていない。更に神力を持っている人間は限られていて、生まれつきでしか手に入れられない。
魔法は大きく“紋章(クレスト)”と“詠唱(アリア)”に分けられる。
“紋章”は魔法陣を描いて発動するため、威力は大きいが時間がかかる。
“詠唱”は呪文を唱えて発動するので、威力は紋章に劣るがすぐに発動出来る。
そして魔法の威力は神力の大きさと己の精神力の強さに比例する。
「……とまあ、ざっとこんな所かな?あとは実際に見た方が早いと思うの。」
2人は少しは理解できた様だが、なんとも形容し難い表情をしていて、ティアまた苦笑するしか無かった。