Imitation

□W 終わりの始まり
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「フィン、目を閉じるんだ。オイラと力を重ねて。」




「う、うん……。」



フィン戸惑いながらも、ビットの言う通りにする。



(目を閉じて、力を重ねる……。)








――トクン、トクン




(ビットの、心臓の音がする。暖かいなぁ……。)





「フィン、その調子だゼ。」






(……感じる。ビットの魔力だ。わたしたち人間の神力と、やっぱり違うんだなあ。
ビットの魔力ってすごく強いんだ。

……気付かなかった。)


フィンはどんどん集中力を高めていく。
そして、ビットの誘いにより真の力が目覚めようとする。






(えっと、この魔力にわたしの神力を重ねて……。)





「はああぁあぁっ!」




「ジス、そのまま切り込んで!魔法で援護するから!」




「空中の敵は俺とリルに任せな!」




「あら、あたしだけで十分よ?」




(凄い……。目、つぶってるはずなのに、みんなの戦う姿が頭に浮かんで見える。)




「いいゼ!そのまま重ねる力を増やしてくれ。」






(強い、力。)




(たくさんの魔物の中から、ただ一体だけを探せるだけの力。)








――『仲間だろ?』

――『昨日の分を今日挽回すれば良いのよ』


――『一緒に頑張ろう』




――隊長は、笑ってくれた。



だから。






(みんなの力になりたいっ!)





フィンの強い祈りに応えたように、淡い光がフィンとビットを包み込む。



(司令官は、何処?)



フィンの脳裏には、360度死角無く周囲の光景が映し出される。




(逃がしたり、しない……!)



注意深く見渡すと、ただ一体だけ戦闘する気配が無い。そして、周りの魔物がまるで守るかのように側にいる。




(間違い、ない。)




「……見つけた。」





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