Imitation

□W 終わりの始まり
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「ティア、この魔物達、やっぱり魔王の軍隊だゼ。」




フィンの腕の中から、ビットが喋る。




「そう……。分かった。」




ティアが杖を握り直すと、他の4人も臨戦体勢に入る。




「この魔物の数、尋常じゃない。全部倒せるかな……。」



ティアに一抹の不安がよぎる。

魔物を倒さねば村が全滅する。
かと言って、無謀と分かっている戦いを仲間にさせる事など――。




「心配ないゼ。魔王の軍隊の中には、必ず司令官(コマンダー)がいるんだ。そいつを倒せば統率の取れなくなった雑魚達は退却するはずだゼ!」


そんなティアの心情を敏感に察したビットは、打開策を告げる。




「……でも、その司令官をどうやって探し出すんですか?」




魔物はまだこんなにいるんですよ、とジスは言う。
活路が見出だせたかと思うや否や、それにさえも問題がある。





「安心しな!オイラが司令官を探し出してやるゼ。」




ただし!とビットは続ける。




「フィンにも手伝ってもらうからな。」




予想外に指名されたフィンは狼狽する。
無理もない。フィンのまともな実戦経験は、演習くらいしかないのだ。



「……フィン、任せて大丈夫?」




ティアが射るような瞳でフィンに問う。

フィンの身を案じるような言葉であるが、ティアの瞳が問うているのは安危などではない。

それはどんなに幼いフィンでも気付いた。




「……はい。やらせて下さい。」




フィンは強く頷く。経験とか、不安とか、そんなもの関係ない。
その瞳に「覚悟」が灯る。




「オイラとフィンが司令官を探している間、どうしても無防備な状態になっちまう。その間、魔物の攻撃から守ってくれ!」



それは反撃の合図。
ティアは薄く笑う。



「……戦闘、開始!」


 



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