Imitation

□V 鬼神の真実
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野宿をした3人は北の洞窟へ向かっていた。

昨日同様、道中はなるべく気配を殺して魔物との戦闘を避けた。回避仕切れない場合が何度かあったものの、大した傷も負う事無く、陽が真上に来る頃には洞窟に辿り着いていた。






「うわぁ……。」



「流石に雰囲気あるね……。」



「あ、でも中はそんなに複雑な造りじゃないですよ。」





洞窟の周囲は雑草一本生えておらず、乾いた大地が剥き出しになっている。唯一あるのが枯れ木数本で、これがまた怪しい雰囲気を醸し出している。





「フィン、鬼神の居場所まで案内出来る?」




この言葉には、その覚悟を問う意味も含まれている。

フィンは迷う事なく頷いた。



「はい。1年前と同じなら、入口から続く1本道をしばらく歩いた所に居るはずなんです。
……でも、」




ティアの問いにフィンは躊躇いなく答えたものの、最後の言葉に戸惑いが感じられる。




「『でも』、何?」




「……何でもないです。」




「……じゃあ、中に進もう。」





ティアは、敢えて言葉の続きを聞こうとはしなかった。

そして3人は真っ暗な洞窟に足を踏み入れる。足下は岩だらけで苔むしている。視界と足場の悪さも相俟って、慎重に進まざるを得ない。

しばらく黙々と歩いていたが、思い出したようにジスが口を開く。





「そういえば、フィンちゃんはどうやってこの洞窟から逃げ出したの?」



「あ、やっぱり長老様から聞いたんですね。」




「あっ、……ごめん。過去の事勝手に知られて、気分良いわけないよね……。」




「いいんです。皆さんの言葉のおかげで、わたし、逃げない勇気を貰いました。
だから、もう大丈夫です。」



暗がりで良く見えないけれど、フィンの表情は晴れやかに違いない。

そしてフィンは言葉を続ける。





「実は自力で逃げた訳じゃなくて、逃して貰ったんです。」




「え?それってどういう……、」





ジスが聞き返そうとした刹那、地の底から呻くような声が響いた。




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