Imitation
□V 鬼神の真実
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村で待機するリルとフォルテは、村の高台から周囲を見渡していた。
昨日ティア達がこの村を発ってから、目立った異常は見受けられない。
「平和だな…。」
「嵐の前の静けさみたいで気味が悪いわ。」
この間まであれだけの魔物が襲って来たのだ。
必ず、魔物達は再びやって来る。
警戒を強めながらも、やはり気になるのは3人の仲間の事で。
「あの3人、大丈夫なんかなぁ。」
「大丈夫に決まってるわよ。あのティアが付いてるんだから。」
「つったってさ、フィンはまだたった13歳だし、ジスだってまだまだ新米だぞ。」
「天才魔導師がいるのよ?あたし達が杞憂することなんて無いわ。」
そうでしょ、と心配するフォルテに、リルはキッパリ言い放つ。
(ティアの実力は、私が良く知ってる。今でも忘れないもの。あの子と出会ったあの日……。)
リルはあの日の刹那に思いを馳せる。
「リルの言う通りティアの実力も天才ぶりも分かってるさ。でもアイツら3人とも年下だから、やっぱり心配なんだよ……。」
(分かってるさ。じゃなきゃたったの17歳で魔導団統帥が務まる訳ない。)
2人共、彼女らの身を案ずる気持ちは同じ。
けれど、思案しても仕方ないのも本当で。
「さて、無駄話はここまでにして、あたし達はあたし達にの仕事をしましょ。」
(信じてるから、無事に帰って来て。)
「そーだなっ!」
(3人が帰って来た時、やっぱ格好わりぃ姿は見せらんないしな。)
そうして2人は見張りを続ける。しかし一向に気配さえ感じることが出来ない。
魔物が現れないならそれに越した事はない、が……
「……何だか、嫌な予感がするわ。」
「……俺も。」
ただならぬ不安を感じながらも、高台からの見張りを続ける。
太陽はただ、2人を照らしていた。